マンチェスター・シティからバルセロナへの移籍が決まったスペイン代表MFロドリ。その決断は、新天地だけでなく、獲得を狙っていたレアル・マドリー、そして絶対的な司令塔を失ったマンチェスター・Cにも大きな影響を与えそうだ。
移籍金は約6500万ポンド(約140億円)で、ラ・リーガ王者と4年契約を結ぶ。空港では、「ここに来られてとても幸せだ。この数日間は慌ただしかったけど、全てがまとまってうれしい。もちろん、バルサでプレーするのは夢だ」と喜びを口にし、「チャンピオンズリーグ(CL)、そして手にできる全てのタイトルを勝ち取りたい」と意気込んだ。
2019年から7シーズン在籍したマンCで公式戦298試合に出場し、4度のプレミアリーグ優勝、CL制覇を含む計13個の主要タイトル獲得に貢献したロドリは、マドリー移籍が有力視された時期もあったが、最終的にその宿敵であるバルサ行きを決意した。2024年のバロンドール受賞者は、今夏の北中米ワールドカップで母国を2度目の世界制覇に導いて大会MVPにも選出。その世界最高峰MFを巡って、各国メディアがそれぞれの視点から今回の大型移籍を分析している。
バルセロナ側では、単なる大型補強以上の価値を持つ移籍と受け止められている。スポーツ紙『Mundo Deportivo』は、「CLのためのキャプテン」と題した記事で、「ロドリはバルサに欧州で競争するために不可欠なバランス、ダイナミズム、ゲームコントロールをもたらす戦略的補強であるだけではない。あらゆる意味で“キャプテン”でもある」と絶賛。「カルレス・プジョールやセルヒオ・ブスケッツにも通じるリーダー像を持ち、腕章がなくとも『目に見えないキャプテン』としてチームを統率できる存在だ」と評した。
さらに同メディアは、「ハンジ・フリック監督もチームのクオリティーが一段階上がったと理解している」とし、「W杯MVPの獲得は、バルサのクラブ史において最も重要な補強となる可能性がある。ロドリがバルサにもたらすものの大きさだけでなく、マドリーにもたらされるはずだったものを奪ったという意味でも極めて大きい」と、その意義を伝えている。
逆にライバル側の見地からも同メディアはこの移籍劇を振り返り、マドリーの新監督となったジョゼ・モウリーニョが、「就任当初から創造性を備えた中盤の司令塔を要求し、その本命がロドリだった」と説明。「全てが決まったかに思われたが、最終的にマドリード出身のロドリはマドリーの扉を閉ざしてバルサを選んだ」と、マドリーが宿敵に「してやられた」ことを強調した。
ただ、マドリー側も「逃がした魚」があまりに大きかったことを認めているようだ。コメンテーターとして活動するクラブOBのホルヘ・バルダーノは、「ロドリがバルサのプレーをそれほど大きく変えることはないだろうが、マドリーに来ていれば、チームのプレーを革命的に変え、周囲の全てを向上させていただろう」(マドリーのクラブ専門メディア『Defensa Central』)と語っている。
さらに、「ロドリがいれば、ボールがもっと早く、もっといい状態でFWへ届いていたはずだ。ゴールそのものではなく、ゲーム全体に影響を及ぼすタイプの選手であり、その点で世界最高の選手だ」と、1986年メキシコW杯の優勝メンバーである元アルゼンチン代表FWはロドリを称賛。「バルサの戦力アップ以上に、マドリーが獲得できなかった損失の方が大きい」との見解を示した。
マドリードのスポーツ紙『Marca』も、「幼少期からマドリーでプレーすることを夢見ていたロドリは、2019年にアトレティコ・マドリーからマンCに移籍する際も、最後までマドリーからのオファーを待っていた」という経緯を振り返り、「マドリーは、彼がW杯で圧倒的なパフォーマンスを披露した後になってようやく本格的に動き出したものの、熱意を十分に伝えられなかった」と、首脳陣総出で説得に動いたバルサとの対照ぶりを強調し、この獲得失敗を悔やんだ。
そして、マドリーとともに、あるいはそれ以上にロドリの移籍によって大きな打撃を受けるのが古巣マンCだ。新監督エンツォ・マレスカの公式戦初陣となったコミュニティシールドでは、アーセナルに0-3で完敗。英国紙『The Guardian』は、「ジョゼップ・グアルディオラという偉大かつ独自性の強い監督の後を継ぐ難しさ」を最大の背景として挙げながら、ロドリを失った中盤の問題についても言及した。
記事では、「失われたのは、ロドリのクオリティーだけではない。組織を統率する能力も失われた」と指摘。この問題を「早急に解決する必要がある」と主張するも、ベルナルド・シウバ(→マドリー)も去ったことで、「マンCの中盤には深刻な不足が生じている」と懸念を示した。
スポーツ専門チャンネル『ESPN』も、「ロドリがいなかった」ことをアーセナル戦大敗の要因のひとつに挙げ、「グアルディオラでさえ、ロドリ不在時には苦しんだ」と付け加えた。記事では、最悪のスタートを切ってしまったマレスカ監督の「ロドリが恋しいかどうかという話ではない。このような敗戦の後なら、多くの問題を見つけられる」とのコメントも紹介されたが、世界最高のMFが抜けた影響は決して小さくないようだ。
このように、ひとりの選手の移籍によって、3つのメガクラブの明暗を分けることになった。ロドリの移籍が、はたして欧州サッカー界の勢力図にどのような変化をもたらすのか。
構成●THE DIGEST編集部
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