楽天グループがドイツの新興企業と連携し、攻撃型ドローンの防衛省への納入を支援すると、日経新聞などが報じた。ただ、自民党内からは、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が「週刊文春」で高市早苗首相批判を展開した内容をもとに、
「防衛用のドローンビジネスに参入するには不適格ではないか」(国防族議員)
として問題視する声が出ている。
インタビューの中で、三木谷氏は現在の政治状況について「総理を事実上、自民党員だけで決めている実態」に常々、疑問を感じていると明かした。さらに自民党員が減少する中で、相対的に保守的な党員が増えているとし、「右派政治家が総裁選で勝ちやすい状況が生まれています」と分析している。結果として政権のやることが国民感覚と乖離してしまう、というのが持論だ。
はたして本当にそうだろうか。現在こそ保守色の強い高市早苗氏が首相の座にあるものの、彼女の前任者たちを振り返れば一目瞭然。前任の石破茂前首相、さらにその前の岸田文雄元首相、そして菅義偉元首相と、いずれも「右派政治家」とは呼べない面々ばかりだ。
もし三木谷氏の言う通り「右派が勝ちやすい」構造が固定化されているのであれば、彼らが総裁選を勝ち抜いてきた事実をどう説明するのか。先の国防族議員は、
「三木谷氏の政治分析は、自らの思い込みに基づく完全な事実誤認だ」
と指摘する。
日本のトップ企業経営者としてあまりにも恥ずかしい
さらに呆れるのは、三木谷氏の中国に対する姿勢だ。高市首相が支持率を上げるため、中国に対して「強硬姿勢」をとる可能性を危惧し、「中国との関係も再考すべきです」と対話を呼びかけている。その上で、中国が大量の個人データを収集してAI能力を進化させている点について「共産主義の皮を被った独裁型資本主義です。是非は別にしてこれは強い」とまで高く評価しているのだ。
覇権主義的な振る舞いが国際社会から警戒されている中国に対し、「AIが強いから」「独裁型資本主義だから」とスリ寄るような姿勢は、日本のトップ企業の経営者として、あまりにも恥ずかしいのではないか。安全保障上のリスクから目を背け、目先の技術力だけで関係改善を説く姿、それこそ彼が批判する「国民感覚との乖離」そのものだ。
前出の国防族議員は、
「影響力のある経済人であればこそ、政治や外交を語る際には正確な事実認識を持っていただきたい。事実に基づかない的外れな政権批判や、中国への媚びともとれる発言を繰り返すのであれば、防衛ドローン事業に参画するのはおやめいただきたい」
強い口調で不快感をあらわにするのだった。
(岡田哲司/政治ジャーナリスト)

