
まだ本来の強度を示せていない。リバプールの遠藤航は大怪我からの復帰途上で、まず取り戻したいマッチフィットネス【現地発】
プレミアリーグは8月21日に開幕し、リバプールは23日に敵地でニューカッスルとの初戦を迎える。新シーズンが目前に迫るなか、遠藤航は長期離脱からの復帰途上にあり、まだ十分なマッチフィットネスを取り戻せていない。33歳MFの現在地を、プレシーズンでの起用法や現地評価から探った。
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遠藤は今、取り戻さなければならないものがある。マッチフィットネスだ。
8月9日のPSMモナコ戦(2-3)。後半からセンターバックに入った遠藤は、2月以来となるリバプールでの実戦を45分間こなした。だが、動きにはまだ重さが残っていた。単純な「試合勘」の問題というより、トップレベルの強度でプレーを続けるための身体が戻り切っていないように映った。
英メディアの評価も厳しかった。『BBC』は10点満点で5点。「CBとして、同点弾の前にボールを処理すべきだった」と指摘した。一方、前半に同じポジションを務めた18歳のイフェアニ・ヌドゥクウェには7点をつけ、「18歳とは思えないほど落ち着いていた」と評した。地元紙『リバプール・エコー』も遠藤を5点とし、序盤は試合のペースから遅れていたとした。
もちろん、長期離脱明けで十分な実戦を積めていない選手を、クラブ復帰初戦の45分だけで評価するのは酷だろう。背景には、想像以上に長い復帰への道のりがある。
遠藤は2月11日のサンダーランド戦で左足を負傷した。4月に自身のポッドキャスト『RED MACHINE The WATARU ENDO PODCAST』で、足の骨をつなぐリスフラン靱帯が断裂していたことを明かしている。
北中米W杯出場を見据えて日本で手術を受け、5月末の復帰を目標にリハビリを続けた。プレートによる固定ではなく人工靱帯を選んだのも、除去手術を避け、W杯に間に合わせることを優先したためだった。
実際、5月31日のアイスランド戦では日本代表として45分間プレーした。しかし、大会を戦い抜ける状態には届かず、森保一監督の判断でW杯メンバーから外れた。
その後も回復は一直線ではなかった。7月21日、米国ツアーを前にリバプールのアンドニ・イラオラ新監督は、遠藤について「グループ練習への復帰に近づいている」と説明し、ツアー中に「完全ではなくても、部分的に」全体練習へ加われればとの見通しを示した。アイスランド戦から約7週間が経っても、まだ完全合流には至っていなかったことになる。
だからこそ、モナコ戦の出来だけを切り取って序列を論じるのは早い。ただ、リバプール内の競争が待ってくれるわけでもない。
そもそも遠藤は昨季、アルネ・スロット前監督のもとでも出場機会を大きく減らしていた。公式戦12試合、先発3試合、出場455分。今夏に監督が代わり、改めて評価を得る必要があるなかで、負傷によって十分なアピールの時間を持てていない。
8月16日にはAXAトレーニングセンターで行なわれたコモとの非公開試合に70分出場した。フェデリコ・キエーザ、コスタス・ツィミカス、ハービー・エリオットらも出場した、控え・調整組中心のゲームで、遠藤はモナコ戦に続いてセンターバックを務めた。
45分から70分へと出場時間を伸ばしたことは前進だが、本職の守備的MFではまだ実戦に出ていない。しかもリバプールは今夏、センターバックに2人の新戦力を加えている。
そんななか、移籍情報サイト『Football Insider』は8月10日、リバプールが遠藤へのオファーを受け入れる用意があると報じた。媒体の移籍情報は精度にばらつきがあり、単独報道だけで事実とは断定できない。
ただ、記事を書いたピート・オルーク記者は、英衛星放送『スカイスポーツ』などで勤務経験を持つ移籍記者だ。遠藤は33歳で、契約は2027年夏まで。昨季から出場時間が減っている事情も考えれば、クラブが今夏のオファーを検討しても不思議ではない。
もっとも、移籍か残留かを占う前に、遠藤にはやるべきことがある。モナコ戦の45分、コモ戦の70分と段階を踏みながら、まずマッチフィットネスを引き上げること。リバプールに残って中盤の競争へ戻るにしても、複数ポジションをこなす戦力として居場所を求めるにしても、今の段階では、まだ本来の強度を十分に示せていない。W杯を逃した大怪我からの完全復帰は、まだ途中にある。
文●田嶋コウスケ
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