海の向こう、メジャーリーグではとんでもない失踪騒ぎが起きている。大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希が所属するドジャースと、ナショナル・リーグ西地区の優勝を争うダイヤモンドバックスのスター選手、ケテル・マルテが遠征先のボストンで突然、チームから姿を消したからだ。
マルテは8月18日(日本時間)のレッドソックス戦に備えてアトランタからボストンへ移動していたが、試合会場であるフェンウェイ・パークに姿を見せず、球団は試合直前に制限リストに入れるという異例の事態となった。ロブロ監督は試合後に、こう語っている。
「慌ただしい1日だった。彼は個人的な問題に対処している、ということしか分からない。できる限り彼に連絡を取ろうとしたが、ほぼ返答がなかった」
左膝のMRI検査を受けるための処置との情報もあるが、詳細は明らかになっていない。昨年も球宴期間中にアリゾナの自宅が空き巣被害に遭った後、自身の判断で母国ドミニカ共和国へ戻って3試合を欠場。制限リスト入りした「前科」があるだけに、謎は深まるばかりだ。
3度の球宴選出を誇るマルテは今季118試合に出場して打率2割4分9厘、21本塁打、67打点と結果を残しているだけに、離脱は痛い。
翻って日本球界でもかつて、現役選手の失踪騒ぎが起きている。日本ハム、巨人、ロッテなどで活躍し、長嶋茂雄監督が投手交代の際に「ピッチャー、げんちゃん」と告げたエピソードの持ち主、河野博文だ。「げんちゃん」のニックネームは、その風貌が歴史の教科書に掲載されている北京原人のイラストに似ているからだという。
失踪騒ぎが起きたのは、日本ハム時代の1990年。5月24日の試合前に東京ドームのフェンスを駆け上がる遊びをしていたところ、アキレス腱を断裂し、全治6カ月と診断されてファームに落ちた。
リハビリは1年近くかかるため、球団は支配下登録選手を1人減らす意味もあって、便宜的に任意引退扱いとした。
やることがないので朝から晩までパチンコ店に入り浸っていた
その後、しばらくは連絡が取れていたが、8月頃からマネージャーが自宅に何度連絡しても電話に出なくなり、家を訪れても不在。音信不通状態になったという。当時を知るマスコミ関係者が振り返る。
「本人は一時的とはいえ、クビになったと思い、完治するまで連絡しなくていいと思っていたようです。その頃は携帯電話がなく、河野は独身だった。やることがないので、朝から晩まで自宅近くのパチンコ店に入り浸り、自宅には寝るために帰るぐらいでした。友人宅や高知県の実家にいることも多かったようで、それは連絡は取れませんよね」
当時の大沢啓二球団常務がポロッと漏らしたひと言で、音信不通が発覚して大騒動になったが、マスコミ報道で騒ぎを知った本人が10月31日、東京・六本木にあった球団事務所に母親同伴で姿を見せ、真相が明らかになった。
この一件で年俸400万円減のペナルティーが下ったが、ある意味、珍騒動だった。
前出のマスコミ関係者は、
「現役引退後は農業に転身して、無農薬でタマネギを生産しています。そのタマネギを使った、刻みレモンと五穀酢のさっぱり甘酢玉ねぎ『げんちゃん玉ねぎ レモン』が2016年10月1日に『第65回県特産品展示販売会』の審査で、最高賞の『農林水産大臣賞』を獲得しています。失踪騒ぎも今や、笑い話ですね」
さてマルテの場合、真相はどうなのだろうか。
(阿部勝彦)

