
画像は『天空の城ラピュタ』静止画より (C)1986 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
【画像】え、「ウソじゃなかった…」「ガチ似てる」 こちらがシータにそっくりな「海賊ドーラ18才」の姿です(4枚)
映画では言及されなかった「意外な事実」
スタジオジブリのアニメ映画は、これまで何度もTV放送され、幅広い世代に親しまれてきました。繰り返し見ている作品も多く、もはや知らないことはないと思えるほどでしょう。それでも意外と知られていない設定は存在します。例えば『天空の城ラピュタ』の主人公「パズー」の父親は作中ですでに亡くなっていますが、その死因を知っている人はどれくらいいるのでしょうか。
「父さんは詐欺師扱いされて死んじゃった」
これは物語序盤、パズーが父親について語る場面のセリフです。ヒロインの「シータ」が「LAPUTA」と書かれた写真に興味を持ったのをきっかけに、パズーは「それ、父さんが飛行船から撮った写真なんだ」「『ラピュタ』っていう空に浮いている島だ」と嬉々として語り始めます。しかしラピュタの実在を信じる人はいなかったようで、パズーは表情を曇らせながら「父さんは詐欺師扱いされて死んじゃった」と言葉を続けました。
父親についてそれ以上のことは語られていませんが、パズーの表情やセリフからは、穏やかな死ではなかったことがうかがえます。人びとから嘘つき呼ばわりされた末に、精神的に追い詰められてしまった……。そんな風に受け取り、病死や自殺の可能性を想像した人も多いのではないでしょうか?
しかし小説『天空の城ラピュタ』(原作・絵:宮崎駿、文:亀岡修)で明かされる真実は、そのどちらでもありません。先ほど紹介したシーンと同じ場面には、以下のように記されていました。
「この渓谷に母親と一緒にくる前、パズーが住んでいた町で、冒険家の父親は大人にも子供にも人気があった。新飛行船建造のためのスポンサー探しに出かけたとき、不慮の事故で死んだが、パズーは、いまでも父親の颯爽とした姿が、ありありと浮かんでくる。」
つまりパズーの父親は、病死でも自殺でもなく「事故死」だったのです。しかも「新飛行船建造のためのスポンサー探しに出かけた」という一文からは、最後までラピュタ探しを諦めていなかったことも読み取れます。
そもそもパズーの父親は、無数の稲妻が走る「竜の巣」を、飛行石の力も借りずにくぐり抜けた男です。そんな死と隣り合わせの冒険を乗り越えた人物が、世間から「詐欺師」と非難された程度で心折れるとはやはり考えにくいでしょう。むしろ父親にとって、ラピュタの存在を証明できないことなど、冒険の途中で立ちはだかる困難のひとつに過ぎなかったのかもしれません。
ちなみに空中海賊「ドーラ一家」へ仲間入りする際、パズーが手に取ったゴーグルは「父親の遺品」でした。このゴーグルは一度、「ムスカ」が放った弾丸からパズーを守っています。父親が遺したものが、結果的に息子の命を救ったわけです。
そう考えると、「詐欺師扱いされて死んじゃった」というパズーの言葉から想像してしまう悲劇的な父親像とは、だいぶ印象が異なってくるのではないでしょうか。世間からのバッシングに耐えきれなかった人物ではなく、困難にも屈せずラピュタを追い続けた、頼もしい冒険家の姿が浮かび上がってきます。
この親にしてこの子あり。父親譲りの冒険心や強い意志があったからこそ、パズーはラピュタへたどり着けたのでしょう。
