阪神タイガースが兵庫県西宮市内の球団施設で新人選手研修会を開いたのは、2025年12月4日だった。伊原陵人投手を含む10選手が参加し、社会人としての心得、交通安全、飲酒、納税、金銭管理、肖像権、マスコミ対応、ファンサービス、交際心得について、約3時間半にわたる説明を受けている。
研修後、伊原は言った。
「1人の人間として、というところがいちばん大事だなと。野球に関してはファンの支えがあって、自分が野球をできる環境を作っていただいている。周りの人に感謝を忘れずに、これからも頑張りたい」
「問題の酒席」があったとされるのは、その翌月である。
「FRIDAYデジタル」が8月19日に報じたのは、伊原が今年1月にチームメートらと参加した酒席で、20代女性に「死ね!」と暴言を吐いたほか、羽交い締めにして髪を摑むなどの暴行に及んだという行状だ。現場の写真と動画を入手したとしており、阪神の若手選手が同席していたと伝えている。
阪神の大西邦佳広報部長は、伊原本人への聞き取りを含め、事実関係を確認中だと説明。
「確認した事実に基づきまして、慎重かつ適正に対応してまいりたい」
と述べている。8月19日時点で処分は決まっておらず、20日以降、チーム内で協議するという。
研修の項目には「飲酒」「交際心得」「マスコミ対応」が並んでいた。交通安全や納税といった一般的な内容と合わせ、こうした項目を3時間半かけて教えたわけである。今回、報じられた内容は、まさにその領域にあたる。研修で教えて終わりではなく、酒席で問題が起きた時、選手が球団に相談・報告できる仕組みはあったのか。あったとして、それは機能したのか。球団が問われるのはそこだ。
問題の酒席から既に約7カ月が経過
事実確認には、同席していたとされる若手選手への聞き取りも欠かせない。同席しただけで責任が生じるわけではないが、当日の状況を把握するには、周囲の話が必要だ。球団は今回の報道で初めて知ったのか。それ以前に把握していたなら、いつ、どのような対応を取ったのか。問題の酒席から報道まで、約7カ月が経過している。
参考になるのは、2021年に日本ハムが、中田翔の同僚選手への暴力行為を認定した例だ。被行為者が問題を大きくしたくないと申し出ていたにもかかわらず、球団は統一選手契約書第17条「模範行為」違反だとして、出場停止処分を科した。
今回とは行為の内容も状況も異なるため、中田の処分例をそのまま当てはめることはできない。ただ、球団は確認した事実を契約や内部規律に照らし、処分が必要かどうかを判断することになる。
伊原の処遇は、事実確認を経て球団が判断するが「1人の人間として」と語った翌月に、問題の酒席があった事実は重い。あの3時間半は、何も変えることがなかったのか…。
(ケン高田)

