
『となりのトトロ』静止画より。トトロからのお土産を縛っていたものとは (C)1988 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
【画像】え、「これのこと?」「よく見るわ」 コチラが『トトロ』を観た子供たちを勘違いさせた「竜のヒゲ」の姿です
「竜のヒゲ」←ファンタジーアイテムじゃないのか
映画『となりのトトロ』(監督:原作・脚本・監督: 宮崎駿)を子供の頃に観たことある人は、もしかしたらある場面を勘違いしたままかもしれません。そこには「竜のヒゲ」という言葉が登場しました。
『トトロ』の印象的な場面のひとつに、「トトロ」が「サツキ」と「メイ」に笹の葉っぱで包んだ「木の実」のお土産を渡すシーンがあります。
トトロの大きな手とは不釣り合いな、ちんまりしたお土産はなんとも可愛らしく、実に印象的です。また、そのお土産がきっかけとなり、トトロたちとさらなる交流が発生するため、物語上でも実は重要なアイテムとなります。
また、この「お土産」についてサツキが入院中のお母さんに手紙をしたためている場面を、大人になった今観返すと、なんとも胸に迫るものがありました。
一方、この場面では、子供たちを「勘違い」させかねないとあるワードがひとつ、忍ばせられています。それが、サツキが手紙のなかで述べている「竜のヒゲ」です。サツキの手紙には、
「ササの葉でくるんで竜のヒゲでしばってあるつつみでした。」
とあります。これをそのまま「竜に生えているヒゲ」と思ったまま、今に至る“元”子供たちは、結構いるのではないでしょうか。
しかし、ここでいう竜のヒゲとは、日本各地に自生する常緑の多年草のことを指します。別名「ジャノヒゲ」とも呼ばれ、公園などでもよく見かける、非常に身近な植物のことだったのです。
これは勘違いしても無理からぬことでしょう。何せ『となりのトトロ』は、明確にファンタジー作品であり、トトロ以外にも「まっくろくろすけ(ススワタリ)」や「ネコバス」などのキャラクターがたくさん登場します。
さほど植物に詳しくない子供が、こうしたファンタジー要素の並びで「竜のヒゲ」と聞けば、昔話に登場するあの竜のおひげと思ってしまうのはむしろ当然のことで、トトロ放送時にSNSでそれを知り驚く声も少なくありません。
『となりのトトロ』は、宮崎監督が劇中に登場する植物の種類、名称にこだわった作品のため、このような不思議な勘違いが生まれてしまったのでした。
しかし、この勘違いはとても素敵なものです。トトロは大人になったら見えなくなってしまいますが、トトロがくれた勘違いは、大人になっても、ちゃんと残っているのですから。
そういう意味では、身近に勘違いしたままの人がいたら、訂正しないでおくのも、優しさかもしれません。
参考書籍:『ジブリの教科書3 となりのトトロ』(文藝春秋)
