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出口夏希&蒔田彩珠が語る実写映画『ルックバック』の舞台裏。是枝裕和監督がこだわった“音”を藤本タツキも絶賛

出口夏希&蒔田彩珠が語る実写映画『ルックバック』の舞台裏。是枝裕和監督がこだわった“音”を藤本タツキも絶賛

是枝裕和が監督・脚本・編集を務め、藤本タツキの同名コミックを実写映画化した『ルックバック』(9月11日公開)の完成報告イベントが8月20日に丸の内ピカデリーで行われ、出口夏希、蒔田彩珠、七瀬ふうり、岡田六花、是枝監督が登壇した。

出口夏希&蒔田彩珠、笑顔でポーズ!
出口夏希&蒔田彩珠、笑顔でポーズ!

小学館漫画賞などを受賞し、2025年に劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が公開されるなど、国内外で高い評価を受ける漫画家、藤本にとって、初の実写映画化作品となる本作。漫画の腕に絶対の自信を持つ藤野と、彼女に憧れを抱きながらも圧倒的な画力を秘めた京本。漫画へのひたむきな思いで結ばれたふたりを、ある日思いもよらない出来事が襲う。原作と同様に、小学生時代から始まるふたりの13年間の軌跡を、繊細かつみずみずしく描き出す。撮影は主に秋田県にかほ市で四季を通して行われ、春夏秋冬それぞれの風景が作品のなかに刻まれた。

メガホンをとった是枝裕和
メガホンをとった是枝裕和

監督、脚本、編集を務めるのは、2018年に『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルム・ドール(最高賞)を受賞した是枝監督。「すばらしい原作に出会ったことからスタートしている。ずっと撮りながら、原作に応えなければと考えていました」と振り返った是枝監督は、「いざ撮影が始まってみると、僕だけでなく、現場を共有したスッタフのみんなに、天気や自然などいろいろなものに恵まれて、特別な時間がこの映画のなかで撮れているという実感があった」としみじみ。「登場人物と風景とが祝福されている感じを、共有していただけるといいなと思っています」と語った。

藤野を演じた出口夏希
藤野を演じた出口夏希

藤野を演じた出口は、「たくさんの方に愛されている作品のオファーが自分に来た。“うれしい”ももちろんあったんですが、“怖い”のほうが勝った。あと是枝さんとは『舞妓さんちのまかないさん』以来、4年ぶり。『成長していなかったらどうしよう、えーん』と言っていました」とプレッシャーを口にして苦笑い。京本を演じた蒔田は「『ルックバック』の漫画が発売されたくらいに、監督に本をいただいていた。やっと来た、ついに実現した、という気持ちが大きかったです」と感慨深げ。「私も監督とは、『舞妓さんちのまかないさん』ぶり。ちょっと恥ずかしかったです」と目尻を下げていた。

京本を演じた蒔田彩珠
京本を演じた蒔田彩珠

漫画を描く2人の少女の物語を映し出すにあたって、是枝監督は「音」にこだわったという。「藤本先生にお会いしてお話した時に、その場で『ベテランのアシスタントの方が描くペンの音。迷いのない、勢いのあるシャッという音がすごくかっこいいんですよね』という話が出た。それは原作にはないもの。その音の変化をちゃんと撮ろうと考えていた。一つの音が2人になって、音が変わっていって、デジタルの音になって。そういった音の変化で、成長を描く。そこをきちんとやる」と狙いを明かした。

子ども時代の藤野を演じた七瀬ふうり
子ども時代の藤野を演じた七瀬ふうり

キャスト陣は、クランクイン前から絵の練習にも励んだ。「手が痛くなった」と打ち明けた出口は、「撮影の合間も、終わったあとも練習できる場所を作っていただいた。監督から、音(の重要性)とかっこいい線を描くということは、言われていた。かっこいい線を描けるまでに、すごく時間がかかって。最初は細い線しか描けず、2つに割れたり。自分たちで覚えていくしかなかったので、ひたすら描いて手に豆ができるくらい練習しました」と特訓の日々を述懐。さらに蒔田が「課題が大変でした。撮影に入る4か月くらい前から練習して。“次までにこれを”と課題をたくさんもらい、学生時代を思い出しました。大変でした」と苦労を吐露すると、出口は「1枚描くのに、1時間くらいかかる。それを1日に8枚ぐらいやって。徹夜して描かないと、課題が間に合わないくらいだった」と裏話を披露していた。

子ども時代の京本を演じた岡田六花
子ども時代の京本を演じた岡田六花

またステージでは、第83回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に選出された本作に、シャークキック・ギター(友情演奏):米津玄師、劇中曲Vocal:三浦透子、ロトスコープアニメーション監督:久野遥子といった、才能豊かなクリエイターが参加していることが発表された。是枝監督は「贅沢すぎて、びっくり」と豪華クリエイター陣に敬意を表し、「米津さん、三浦さんの録音にも立ち合わせていただいた。そこにいさせていただくこと自体が、すごく贅沢な時間だった」と目を細め、さらに「久野さんが仕上げていくプロセスを目の当たりにして、できあがりまで過ごせた。すごくいい経験でした」と感無量の面持ちを見せていた。

七瀬ふうり&岡田六花、入場時から仲の良い様子を見せて会場を盛り上げた
七瀬ふうり&岡田六花、入場時から仲の良い様子を見せて会場を盛り上げた

原作者の藤本からの映画鑑賞後の感想コメントも紹介され、「映画内での漫画のアナログ道具の使いっぷりや、ペンを入れる特有の気持ちのいい音、家の経年劣化具合や小道具が魅せる生活感は、そこに藤野と京本が本当に生きている証拠のように見えて映る度に感動していました」と藤本からの賛辞の言葉が読み上げられると、是枝監督は「本当にうれしいです。こだわって描いた部分を誉めていただけて、ホッとしています」と安堵の表情。

豪華クリエイターの参加が発表となった
豪華クリエイターの参加が発表となった

「世の中に出るまでは緊張と不安の日々。ちょっとだけホッとしました」と続いた出口は、「私自身、この作品でたくさん成長したなと思います。きれいな景色、音、にかほなど、私たちが目で見たすべてが映し出されている。それを感じていただけたらうれしいです」と願いを込めた。蒔田は「京本が『藤野ちゃんは、なんで絵を描いているの?』と言ったように、私もこの作品を通して、なんでお芝居をしているんだろうと考えるきっかけになった」と告白。「それは好きだからなんですが、いままで一度も、なんでやっているんだろうと考えずにやってこられた。それは京本と同じようにひたむきにやってきたからなんだなと気づかせてもらった」とキャラクターと自身を重ねながら、「自分の好きなこと、好きな人に対して、なにかを考えるきっかけになる作品」だと力強く語っていた。

【藤本タツキ、映画鑑賞後のコメント全文】

漫画の実写映画化などで漫画のセリフや演技がそのまま実写になると、リアリティのないものになる事があると思います。
ルックバックの実写映画化ではそこを是枝監督映画特有の俳優が持つ所作やカメラの動きで、原作のテイストを崩さずに原作が持っていた雰囲気をリアリティを持って出す事でできていたのでとても嬉しかったです。
映画内での漫画のアナログ道具の使いっぷりや、ペンを入れる特有の気持ちのいい音、家の経年劣化具合や小道具が魅せる生活感は、そこに藤野と京本が本当に生きている証拠のように見えて映る度に感動していました。
原作は僕の漫画ですが、以上の点からしっかり是枝監督作品になっていたので初めて見る作品の様にとてもとても楽しめました!
ただ、地元にかほ市が出てくる場面ではどうしても当時を思い出してしまい、映画に集中できませんでした!

取材・文/成田おり枝
配信元: MOVIE WALKER PRESS

提供元

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