『ストレンジ -伊藤潤二の夜も眠れぬ奇妙な話-』で、3話にわたって龍介を演じる細田佳央太。後編では、共演者との撮影、原作漫画との距離感、そして3人の監督による演出の違いについて語った。
「僕と関わる人は、僕以外みんなおかしくなっちゃう」
――共演者と絡むシーンで印象に残っていることはありますか。
細田佳央太:基本的に、龍介と関わる人は、龍介以外みんなおかしくなっちゃうんです。だから、皆さんが変わっていく姿を見て「面白そうだな」と思っていました。龍介はずっと、起きたことに対して“受け”の芝居が多いんです。受けは純度としては高いけれど、敷かれた道を歩いている感覚もあって。一方で、取り憑かれた人たちは型がないから、「どうやったらより怖く見えるか」「もっとやっていい」という話を監督が現場でしているのを見ると、狂っている人の方が楽しそうだなと感じました(笑)。
――ホラーの撮影現場ならではの恐怖体験などありましたか。
細田:全くなかったです。
ただ、伊藤先生が描いていた時代と、今回ドラマ化した時代とでは時間がだいぶたっているので、漫画の中に出てきた“辻”が現代には全然ないんです。もしもっと実際の辻が身近にあったら、もっと恐怖体験として感じていたのかなとは思いました。共有の知識や風景がないというか、そこは現代ならではの違いだと思います。
「原作の良さを引き継ぎつつ、ドラマ版の答えも提示している」
――原作漫画ファンも多い作品です。実写ドラマ版として、どこを見てほしいですか。
細田:世界中にファンがいる伊藤先生なので、原作を見ている方も多いと思います。実際、伊藤先生の作品をオムニバス化したドラマを放送しますとなった時の反応も、すごく多かった印象があります。だからこそ、漫画の良さは当然引き継ぎつつ、ドラマオリジナルの部分をどう認めてもらえるのかなというのは楽しみです。寄せるところは寄せて、自分たちで作り上げるところは作り上げる。ドラマの中で描ききれていない、あるいは漫画では描かれなかったところに対して、「ドラマ版で作った時はこうだったんじゃないか」という考えや答えを提示しているところもあるので、見た人がどう捉えるのかはすごく気になります。特に、龍介と美少年の距離は、漫画版に比べてドラマ版の方がかなり近くなっています。そういったところも含めて見ていただけるとうれしいです。
「やっとホラーのお風呂に足を突っ込んだ感じ」

――3話分を演じ終えて、ホラーをやり切った感はありますか。
細田:まだまだです。やっとお風呂に足を突っ込んで、温度が分かった感じです(笑)。そのうえで、じゃあどうやって全身を使って、ちゃんと気持ちいいと言えるぐらいまで自分自身を高めていこうか、というところが課題です。今回3話分を担当させていただいて、監督がそれぞれ違ったんです。監督の方々からも「変に気を使って足並みを揃えるより、自分たちがちゃんと自分たちのスタイルでやっていきましょう、歩幅を合わせずにやっていきましょう」という方針だと聞いていました。だから、こっちの監督ではこうだったから、こっちでもこう、ということはないんだなと思いましたし、監督方もそれぞれ現場にいらしてくださっていたので、そういう体験はすごく贅沢でした。
「同じキャラクターを通して、監督ごとの違いも楽しめる」
――監督ごとの違いも、3話分続けて見る面白さがありそうです。
細田:そうですね。監督によって、カットの割り方やアングルもやっぱり違いました。3話それぞれ監督が違うので、一番その違いが分かる気がします。他の話は1話ごとに監督の色味を全力で楽しめると思いますが、「死びとの恋わずらい」は、同じキャラクターを通して監督ごとの違いもあるので、それも感じながら楽しんでもらえたら嬉しいです。
「龍介の変化や原作との距離感も味わってほしい」
――最後に、視聴者へメッセージをお願いします。
細田:今回はオムニバス形式ということで、伊藤先生のいろんな作品の中から、本当に厳選された傑作がドラマ化されています。見る方の中にはホラーが苦手な方もいると思いますし、僕自身もホラーは苦手ですが、全部が全部、怖い、グロい、びっくりに振り切っている話ではありません。伊藤先生の作品に浸かるという意味で、これだけいろんな作品を見られるオムニバスドラマなので、ぜひ楽しんでもらえたらうれしいです。龍介を3話分にわたって追いかけることで見えてくる変化や、原作や監督ごとの違いも含めて味わっていただけたらと思います。

