プレミアリーグのアストン・ビラが現地8月19日、パルマから日本代表GKの鈴木彩艶の獲得を発表した。現地報道によると、契約期間は5年で背番号は「1」。移籍金は3000万ユーロ(約56億円)+ボーナス500万ユーロ(約9.2億円)とされている。
2023年に浦和レッズからベルギーのシント=トロイデンに移籍して欧州挑戦を始め、わずか3シーズンで世界最高峰リーグへ到達した23歳の守護神は、『Villa TV』のインタビューで「とてもワクワクしている。ここで新たな挑戦を始められることが本当にうれしい」「プレミアリーグでの最初の挑戦を始めるうえで、ここが自分にとって相応しいクラブだと思っている」「最高のレベルでプレーしたい。それが、ここに来ることを決めた理由だ」と語った。
チャンピオンズリーグ王者のパリ・サンジェルマンへの移籍が間近とされながら土壇場で破談となり、直後に今度はヨーロッパリーグ王者からオファー。しかもアルゼンチン代表GKエミリアーノ・マルティネスの後釜候補ということで、世界中から多くの注目を集めた鈴木に対して、現地メディアが大きな期待を寄せている。
英紙『The Guardian』は、「フィジカル面ではトップクラスのGKだ。身体能力とシュートストップ能力に疑いの余地はない。北中米ワールドカップでも実力を示しており、とりわけヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル代表)の低いシュートを防いだセーブは目を引いた。ポジショニングにはまだ改善の余地があるものの、空中戦に強く(昨季セリエAでクロスのキャッチとハイボール処理で2位)、足元のプレーにも優れている(ロングパス成功数も2位)」と評した。
続けて、「イングランドではゴールエリア内に選手が密集することも多く、その適応に時間がかかるかもしれない。マルティネスのようにペナルティーエリア内を支配できるようになるには、さらに時間が必要になる可能性もある」と不安点を記載しながらも、「ウナイ・エメリ監督は選手育成を得意としており、鈴木が大きく成長する可能性がある」とポジティブな見解を示している。
さらに、その出自(日本人の母とガーナ系アメリカ人の父)や、それに伴う人種差別の被害、そして3年前のアジアカップで非難の矢面に立たされたことなども紹介し、「メンタリティーと自信という点で考えれば、今季のチャンピオンズリーグに出場するクラブで、W杯優勝GKの後を継ぐことは問題にはならないだろう。23歳の鈴木は、すでに数多くの壁を乗り越えてきたからだ」と太鼓判を押した。
そして同紙は、注目度ではイタリアをはるかに上回るイングランドで鈴木がプレーすること自体が、アジア人GKのイメージを高められる可能性を指摘。「これほどの大きな期待をサムライブルーの守護神の逞しい肩に背負わせるのは酷かもしれないが、鈴木には状況を変えるだけの力がある」と書いて記事を締めている。
一方、スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』は、シント=トロイデン時代に鈴木を指導したデニス・ルーデルGKコーチの「鈴木が世界のGK陣の頂点に立つことは可能だ」というコメント紹介しながら、「マルティネスの後継者となる鈴木には、重大な任務が待ち受けている。今回の移籍はルーデルGKコーチらが何年も前に見出していた潜在能力を開花させるための一歩となるだろう。ビラは未来のGKを手に入れた」と綴った。
日本代表GKを迎えたビラのクラブ専門メディア『AVF』は、鈴木のセーブ能力だけでなく、「足元でボールを扱うことにも慣れており、相手FWからプレッシャーを受けても冷静さを保つことができる。こうした能力は、エメリ監督の戦術的アプローチに合致している」と称賛している。
同じく専門メディア『Villa News』は、「エメリ監督とサポーターは、すぐに期待通りの結果を鈴木に求めるのではなく、イングランドのサッカーに適応するための時間を与える必要がある。鈴木はW杯でハイレベルな舞台でも力を発揮できることを証明したが、世界最高水準のリーグでそれを継続的にやってのけることは簡単ではない。適応には1シーズンを要する可能性もある。最初のシーズンに犯すミスについては、あまり厳しく批判すべきではない」とし、鈴木を見守る姿勢を鮮明にした。
構成●THE DIGEST編集部
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