
しっかり者の「サツキ」と、元気いっぱいの「メイ」。画像は『となりのトトロ』静止画より (C)1988 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
【画像】「えっ…」「よく見ると力技(笑)」 これが「ほぼご飯!」なサツキ作のお弁当です(3枚)
しっかり者のサツキに「可哀想」の声も?
2026年8月21日(金)の「金曜ロードショー」では、スタジオジブリの名作『となりのトトロ』が放送されます。本作に登場する「サツキ」といえば、しっかり者で妹思いのお姉ちゃんとして知られていますが、近年では「サツキちゃんが可哀想」「ヤングケアラーなのでは?」という声や、「父親に問題がある」と指摘する声も少なくありません。
例えば引っ越しを終えて新生活が始まったある日、サツキはお父さんよりも早く起きて家族の朝食を作り、3人分の弁当も用意していました。12歳という年齢を考えると、その手際の良さは驚かされるほどです。さらに妹の「メイ」はまだ4歳で、彼女の世話もサツキの役目でした。
また自由奔放に振る舞うメイと比べると、サツキはさまざまなことを我慢しているようにも見えます。病室に入るや一目散にお母さんに抱きつくメイに対し、どこか遠慮がちなサツキの姿もその一例といえるでしょう。
そんなサツキの感情が爆発してしまったのが、お母さんの一時退院が延期になった場面でした。それまで気丈に振る舞い続けていたサツキでしたが、ついに不安を抑えきれなくなり、おばあちゃんの前で「お母さん、死んじゃったらどうしよう」と、泣き崩れてしまいます。SNSでは「どれほどサツキが無理をしてきたかが分かるシーン」といった声もあがっています。
病気で入院しているお母さんに代わって家族を支え、しっかり者のお姉ちゃんとして頑張り続けているサツキの姿を「可哀想」と感じたり、家族の世話を担う子供や若者を指す「ヤングケアラー」と重ねたりする視聴者の気持ちも、ある程度は理解できます。
しかし、「父親に問題がある」とまで言い切ることもできません。そもそもサツキは、家事のすべてを押し付けられていたわけではありません。先ほど触れた朝のシーンでも、寝坊したお父さんは「すまん、また寝過ごした」と謝り、「今日から私、お弁当よ」と告げるサツキに「しまった、すっかり忘れてた」と返していました。
このやり取りからは、普段の食事作りはお父さんが担当していたことがうかがえます。実際、夕食作りに励むお父さんの姿も描かれており、この日のサツキは、あくまで寝坊したお父さんに代わって朝食や弁当を作っていたのでしょう。

お父さんは仕事に没頭している場面だけでなく、家族といっしょに洗濯や入浴をするシーンも描かれる。画像は『となりのトトロ』静止画より (C)1988 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
昭和の時代に「自宅勤務」していた?
また、お父さんは大学の非常勤講師で、出勤しない日は自宅の書斎で仕事を進めていました。少なくとも作中の描写では、草壁家では大人が子供たちのそばにいられる環境が保たれており、サツキが家事全般やメイの世話に付きっきりだったわけではありません。
一方でサツキは「みっちゃん」の家へ遊びに行こうとするなど、自分の時間を過ごす場面も描かれています。メイが学校に来てしまった際、「クラブ休むって言って」と友人に頼む場面からも、普段はクラブ活動に参加していたことが分かります。
むしろ子供たちのそばにいながら自宅で仕事をするお父さんの働き方は、現代でいうところの「リモートワーク」に近いものだったのかもしれません。家族のそばで仕事をしながら子供たちの生活を支えるという姿は、意外にも現代的な働き方にも映ります。
そう考えると、サツキを「ヤングケアラー」とひとくくりにしてしまっていいのか、お父さんに「問題がある」と言っていいのかどうか、改めて考えさせられるところです。
8月21日の放送では、サツキの頑張りだけではなく、お父さんの姿にも目を向けてみると、これまでとは少し違った『となりのトトロ』が見えてくるかもしれません。
