猛暑と呼ぶにはやや控えめながら、8月下旬とは思えぬ厳しい残暑が続いている。お盆休みの出費がかさみ、財布の紐は固くなる一方だが、汗だくで帰宅した後の一杯だけは別格。居酒屋通いの回数を減らしつつ、自宅で「格上げされた家飲み」を楽しむ工夫を施せば、なんともウマイ一杯を演出できるのだ。
1本200円台の缶ビールを、居酒屋の生ビール並みに仕上げる注ぎ方がある。カギを握るのがグラス選びだ。水でさっと濡らしてから冷凍庫で数分間、冷やすことで表面に薄い氷の膜ができ、ビールの温度低下と泡持ちの良さが同時に叶う。ぜひ試してほしい。
次に重要なのが、角度と手順だ。最初はグラスをまっすぐ立てた状態で勢いよく注ぎ、粗く大きな泡を作る。ここでいったん手を止め、泡が落ち着くのを待ってから、今度はグラスを傾けて壁面を伝わせるように、そっと液体を流し込む。
こうすることで荒い泡の下に液体が入り込み、上部にはクリーミーで細かい泡の層が生まれる。いわゆる「三度注ぎ」に近い手法で、最後にもう一度中央から少量を落として微調整すれば完成だ。
缶ビールは炭酸が抜けやすいので開栓後は手早く
酒類事情に詳しいライターは、
「ポイントは泡と液体の黄金比。ビール7、泡3の割合を意識するだけで驚くほど雑味が消え、香りが立ちやすくなります。缶ビールは炭酸が抜けやすいので、開栓してから手早く注ぎ切ることを忘れないでください」
氷点下近くまで冷やしたグラスを使う場合は、注いだ瞬間に泡が一気に立ち上がるが、少し高い位置から勢いをつけて注ぐのがコツだ。
道具はグラスとひと手間だけ。特別な器具を買い足す必要はなく、今夜からでも試せる手軽さがある。残暑の夜、値の張る外飲みを控えつつも、味だけは妥協したくないという方は、さっそくどうぞ。
(滝川与一)

