
『もののけ姫』静止画より (C)1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND
【画像】え、「ウソでしょ!?」こちらは『もののけ姫』サンがモデルといわれる、見た目は”別人”な『スターウォーズ』キャラです(4枚)
監督の発言から紐解くアシタカの「その後」
「夏のジブリ祭り」として、8月に3週連続でスタジオジブリ作品が放送された「金曜ロードショー」。改めて名作の数々に触れた方も多いのではないでしょうか。なかでも1997年公開の『もののけ姫』は、公開から四半世紀以上が経ったいまも色あせない魅力で、多くの視聴者を引きつけています。
そんな『もののけ姫』を観るたびに、「アシタカとサンのその後はどうなったのだろう」と気になってしまう方は少なくないはずです。宮崎駿監督の発言を手がかりに、ふたりの「その後」に迫ってみましょう。
ラストシーンは「プロポーズ」の場面だった
物語の終盤、「シシ神」の首を取り戻して森が再生した後、「アシタカ」と「サン」はそれぞれの場所へと戻ることになります。別れ際、サンはアシタカに「アシタカは好きだ でも人間を許すことはできない」と伝えました。
実はこの場面、『もののけ姫 スタジオジブリ絵コンテ全集11』によると、アシタカがサンに「プロポーズしている」シーンだったのです。つまりサンのセリフは、アシタカの求婚に対する返答だったということになります。
それに対してアシタカは「それでもいい サンは森で 私はタタラ場で暮らそう ともに生きよう」と答えます。その言葉を受けたサンが、作中を通じてずっと険しかった表情をふっとゆるめる瞬間は、多くの観客の記憶に刻まれているのではないでしょうか。
宮崎監督が語った「アシタカは大変だな」
一見、感動的なハッピーエンドに思えるふたりの未来ですが、宮崎監督は公式ムック本『もののけ姫ロマンアルバム』のなかで、そう単純ではないビジョンを示しています。
監督はサンの「人間を許せない」という言葉を「答えが出せないままアシタカに刺さったトゲ」と表現しました。そのうえで、アシタカはそのトゲとも一緒に生きていく決意をしたのだと明かしています。
さらに監督はアシタカの「その後」について、このように語っています。「タタラ場の理屈で言うと、生きていくためには木を切らなければならない。だけど、サンは切るなっていうでしょ。その度に突っつかれて生きていくんだな、アシタカは大変だな」。
自然と人間、どちらの側にも立ちきれないアシタカの苦悩が、監督の言葉からありありと伝わってきます。「ともに生きよう」という誓いの裏には、異なる立場の者同士が歩み寄るための、果てしない葛藤が待ち受けているのかもしれません。
コダマの再登場は実はアニメーターの発案だった
ふたりの関係とは別に、もうひとつ注目したいラストシーンがあります。シシ神の暴走で森から姿を消した「コダマ」が、物語の幕切れに再び現れる場面です。
実はこのシーン、宮崎監督ではなくアニメーターの二木真希子さんが発案したものだそうです。そして1998年の書籍『「もののけ姫」はこうして生まれた。』では、監督がコダマとトトロの関係について興味深い見解を示しています。作中でコダマが描かれた絵に『となりのトトロ』のトトロがいないことを気にかけた監督が、「コダマがトトロに進化した」という論理で自らのなかで納得させたというのです。
作品の枠を超えた宮崎監督の独自の世界観に、改めて驚かされます。ジブリ作品をあわせて観返してみると、また新たな発見があるかもしれません。
