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漫画家に直接「1.5億円」を投資する台湾産マンガの“神環境“ 急速に進む「世界進出」やメディアミックス

漫画家に直接「1.5億円」を投資する台湾産マンガの“神環境“ 急速に進む「世界進出」やメディアミックス


台湾におけるマンガ振興の拠点となっている、「台湾漫画基地」。コンテストや展示イベントなども頻繁に行われている(以下全て乃木章撮影)

【画像】「おお」「伸びしろしかない…」 これが台湾産マンガの今がわかる「台湾漫画基地」です(16枚)

市場規模は日本よりはるかに小さいが…?

 近年、海外、特にアジアのマンガ市場は大きく成長しています。スマートフォンの普及を背景に縦読みマンガを世界に広げている韓国の勢いが目立つなか、実は台湾市場にも大きな可能性が広がっています。台北にある「台湾漫画基地」を拠点に、台湾発の作品がどのように育ち、広がりつつあるのかを紹介します。

 台湾のマンガ市場は、この5年間で大きく成長してきました。もともと台湾には絵を描ける人材が多くいましたが、作品を発表する場が少なく、漫画家として世に出るのは簡単ではありませんでした。そうした状況のなかで、2019年に台湾のマンガ・アニメ文化の振興拠点として「台湾漫画基地」がオープンし、続々と発表・交流の拠点が整備されています。

「台湾漫画基地」は、台湾産マンガの展示販売スペースや、マンガをテーマとした展示エリア、多目的ホール、カフェなどを備え、会員の漫画家が利用できる創作スペースも設けられています。販売スペースで取り扱う作品の8割以上が台湾の漫画家による作品で、イラストレーターやライトノベル作品も並んでいます。単なる展示販売にとどまらず、クリエイターと読者が自然に集まり、交流する空間として機能しているのが特徴です。

 台湾漫画基地の担当者によると、現在の台湾の商業マンガ市場は、日本のような「出版社を中心とした大規模な流通構造」がまだ十分に発達しておらず、日本と比べるとまだ小規模だといいます。そのため、台湾の漫画家は基本的にひとりで制作を担うことが多く、アシスタントがつくケースはほとんどありません。人材不足に加え、日本のように「弟子入り」から「商業デビュー」へとつながる仕組みも、まだ十分には整っていないのが現状です。

 そこで台湾政府は人材発掘と育成に力を入れています。台湾文化部による漫画家への補助金制度も充実しており、作品制作前の企画書や執筆計画書の段階から審査の対象となります。

台湾政府はマンガ振興に年間3000万台湾ドル(日本円で約1億5000万円)を投じており、年間4億5000万円ともいわれる韓国政府のマンガへの投資にも刺激を受けながら、台湾の文化産業としてのマンガ振興が進められています。実際に、台湾での人材発掘に注力する日本の出版社もあり、日本のマンガ雑誌などで連載する作家も増えているといいます。


台湾で人気の『守娘』と『三個不結婚的女人』の単行本。台湾の怪奇伝説をモチーフとしたミステリー作品『守娘』はKADOKAWAにより翻訳出版されており、「カドコミ」で試し読みも可能

メディアミックスや「世界進出」に成功した台湾産マンガも

 こうした取り組みの成果もあり、台湾のマンガは台湾の内外で徐々に存在感を高めています。欧米では日本のマンガの版権価格が高騰するなか、日本文化との親和性もある台湾産マンガに注目が集まり、すでに台湾で人気を獲得した『守娘』のように、オリエンタルなテイストの作品が海外で版権を獲得する例も増えています。また、台湾ではBL作品の人気が高く、日本の出版社が台湾の漫画家をスカウトする動きも広がっているようです。

 さらに、近年は台湾市場でメディアミックスとして成功した『三個不結婚的女人』(日下棗)のように、大ヒットを成し遂げる作品も登場しており、今後さらに勢いを増していく可能性があります。日本でも台湾産マンガが翻訳出版され、日本人が台湾産マンガを読む機会が増えていることを見ても、今後の急成長が期待されます。

 日本は早くから出版社が培った出版システムによって市場が成熟している一方で、政府が新人漫画家の育成を強く後押しする土壌はあまりないように感じます。日本政府が現在打ち出しているコンテンツ産業への投資はどちらかというと「コンテンツの海外展開」など流通を重視する方針が目立っています。

 強力なコンテンツは「面白い原作」があってこそだと誰もが考えるでしょう。日本のコンテンツ産業を本気で成長させようとするならば、マンガ家への直接支援に力を入れている台湾から学べる点も少なくないのではないでしょうか。

配信元: マグミクス

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