
ウルトラマン60周年記念バージョンとなる、『S.H.フィギュアーツ ウルトラマン バルタン星人 60th Anniversary Edition』(TAMASHII NATIONS) (C)円谷プロ
【画像】「えっ、マジか」「アイツか…」 これがバルタン星人の声の「元ネタの元ネタ」です(4枚)
一概に「侵略者」とはいえない?
今年2026年は『ウルトラマン』60周年であり、ウルトラシリーズの人気怪獣である「バルタン星人」の登場から60年でもあります。1966年7月に放送された第2話「侵略者を撃て」でバルタン星人は初めて登場しています。『ウルトラマン』に詳しくない人にも知られているほどの有名怪獣です。
それだけ有名になった要因は、『ウルトラマン』だけで3回も登場したこと、両腕のハサミを上下させる独特のポージング、「フォッフォフォ…」という鳴き声などが印象に残るからでしょうか。これらの特徴がバルタン星人の個性に直結し、人気を高めてきたのかもしれません。
バルタン星人について、意外と一般の人に知られていないのが地球に来た経緯と目的です。バルタン星人は故郷の星を失い、たまたま宇宙に旅行中で生き残った者たちでした。しかし乗り込んだ宇宙船が故障したため、修理のために地球に立ち寄ったのです。
そうした経緯から考えると、そもそもは保護される立場の民族だったといえるかもしれません。実際、その経緯を聞いた「科学特捜隊」の「ハヤタ」は……「地球の風俗習慣に馴染み、地球の法律を守るならそれも不可能ではない」……と、受け入れる気持ちを示します。
しかしバルタン星人には命の概念もなく、宇宙船には20億3千万人もいました。そのうえ一方的に話し合いを中断し、武力による侵略行為を開始します。バルタン星人には同情する余地はあったのですが、それを自ら捨てて侵略者の道を歩んだといえるでしょう。
子供時代に視聴した時は漠然と「悪いやつ」という印象のあったバルタン星人ですが、成長してから見ると複雑な事情を持った哀れな侵略者といえるかもしれません。そして、この問題は複雑化した現代社会にこそ響くテーマといえます。
ファーストコンタクトで地球との関係に大きな溝を作ったバルタン星人ですが、その後の活動を見ていくと、意外にも地球文化に馴染んできた印象が見受けられます。

第16話「科特隊宇宙へ」で登場した二代目バルタン星人を立体化した、「ウルトラ怪獣シリーズ 229 バルタン星人(二代目)」(バンダイ) (C)円谷プロ
地球の文化に精通し始めた?
バルタン星人の『ウルトラマン』再登場は、第16話「科特隊宇宙へ」でした。ここでは弱点である「スペシウム光線」を跳ね返す「スペルゲン反射鏡」を装備するなど、ウルトラマン対策をして侵略に臨んでいます。
第33話「禁じられた言葉」でも登場していますが、ウルトラマンとの直接対決はありません。しかし、この3度の最多登場がバルタン星人の知名度を上げる大きな要因となりました。ウルトラマンの宿敵という認知は広がり、マンガなどの二次創作物でも怪獣たちの中心に置かれることが増えます。
こうして人気怪獣の地位を築いたことから、作品をまたいで『帰ってきたウルトラマン』第41話「バルタン星人Jrの復讐」で再登場しました。この時に登場したバルタン星人は、ウルトラマンに倒された個体の息子にあたるらしく、「父の仇を討つ」といっています。
命の意味を知らなかった初代と異なり、だいぶ地球の考え方に影響を受けたのでしょう。去り際の捨て台詞も「勝負はまだ一回の表だ!」と、野球に例えていました。これらのことから、バルタン星人の意外な適応力の高さがわかります。
その後に登場した『ウルトラマン80』第45話「バルタン星人の限りなきチャレンジ魂」の六代目は、「お釈迦様でもご存知あるめえ!」などと時代劇風の言葉遣いをしていました。ハヤタの提案通り、その後は地球の風俗習慣に馴染んでいたことから、最初に侵略という行為に及ばなければ地球人と友好関係を結ぶ可能性もあったかもしれません。
別世界の地球になる映画『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』や『ウルトラマンマックス』では、友好的なバルタン星人も登場しました。そう考えると、バルタン星人という種族がすべて侵略者であるとはいえないかもしれません。
登場から60年も経過したバルタン星人ですが、近年では作品への登場の機会も減っています。また別の解釈で新作にも登場してほしい。そう思うのは筆者だけではないでしょう。
