【モデルプレス=2026/08/23】アーティストのあのが23日、都内で行われた短篇アニメーション映画『しらぬひ』の公開記念舞台挨拶に、声優の花澤香菜、三木眞一郎、メガホンをとった片野坂亮監督とともに登壇。役作りやオファー秘話について語った。
◆片野坂監督、あのをオファーした理由
湊役をあのにオファーした理由を聞かれた片野坂監督は「僕がそもそもアーティスト・あのさんのファンでして、仕事に向かう姿勢、作品作りの熱量とか真っ直ぐさ、そういったところを自身も何かもの作りの人間としてリスペクトしていたような部分がたくさんあるんですよね」と告白。「その中で今回のシナリオに行き着いた時に、プロデューサーさんが『この物語で湊が抱えている痛みを正しく世の中に伝えるのはあのさんだと思う。あのさんにオファーしていいですか?』とお声がけをしていただいたというのが経緯ですね」と明かした。
10歳の少年である湊役のオファーが来た際の心境についてあのは「すごく驚いたんですよ。少年っていう子どもの男の子で、自分は大人の女性ですから(笑)」と照れ笑い。「できるかなという不安はありつつも、できると思っているからオファーをしてくださったって、その可能性を少しでも感じてくれているんだなというところがすごく嬉しくて、そういう期待にも応えたいなって思ったし、自分はできるんじゃないかなってどこか思えたのもあったのと、脚本を読んで自分がオファーをもらったのは声もあるけど、湊と何かを重ねてくれたのかなとか思うと、すごくやる意味を感じたし、僕がやる意味をしっかり出していけるように務めたいなって覚悟を決めて受けました」と言葉に力を込めた。
加えて、脚本を読んだ際の感想を尋ねられると「最初に読んだ時もですし、どうやって声をあてていこうかなってなって、自分で実際に湊のセリフを読む時も、お家とかでも毎回泣いちゃうんですよ。涙が止まらなくて、それぐらい痛くて、目を閉じたくなるようなお話でもあるなとは正直思っています」と吐露し、「もちろんこれはアニメーションですけど、どこかにそういう子どもが絶対にいると思っているので、そこはしっかり自分らがそこに対して生半可な気持ちではやっていけないなというのは最初にすごく思いました」と語った。
◆あの、10歳少年役で意識したことは?
また、湊役を演じる上で意識した点についてあのは「技術的なところはプロの方々とは天と地の差で、知識もないというところもあったんですけど、やるからには見る方々に湊の思いを届けたいというところもあって、湊がどういう10年を送ってきたかというところはすごく意識しました」と打ち明け、「近所の人に対してどう思っているかとか、そういうところまで意識しながら、“じゃあ、こういう声を出すかな”とか、“この人がいる場面はこうかな”とかを考えながらやりました」とコメントした。
そんなあのの演技について、片野坂監督は「演技っていうよりは、アフレコの瞬間は湊として生きてくれていたと思ったんですよね。実際に『演技』という言葉が僕にはしっくりこないぐらい、湊を生きてくれたなというのが僕の感覚でした」と絶賛。そんなあのと共演した感想を聞かれた花澤は「監督がおっしゃっていた通りで、“湊として生きている”っていうのがまさにそうで、第一声“あのさんから声が出ているのかな?”と思うくらい少年で、しかも孤独を抱えている。それを表現するのってとても繊細なことだと思うんですよね。それをためらいなくどっぷり浸かりこむようにお芝居をされていて、それがすごく衝撃的というか、“かっこいいな”と思いながらアフレコしていました」と感嘆した。
逆に花澤と共演した感想についてあのは「声優さんの現場というのはそんなに経験しているわけじゃないので、結構緊張感もあった中で、お話をしていいのかすらわからなくて、僕もめちゃくちゃ集中しちゃっていて、しかもこれが合っているのか合っていないのかもわからないぐらいの感じで、とにかく一生懸命やるしかないっていう中で、『声優は今まで何回やったの?』とかすごく話しかけてくださいました」とにっこり。花澤は「スタジオは密閉されていて、他の音が聞こえない状態で、あのさんも集中しているのもわかるから邪魔しちゃいけないし、でもこのまんまシーンって時間が流れるのもどうかなと思って話しかけさせてもらって、2回目って聞いてめちゃくちゃびっくりしました」と当時の様子を回顧し、あのは「驚いてくれて、それも逆に“今やってるこの姿勢は間違ってないんだな”と救われた瞬間でもあったし、(花澤は)背中で全部見せてくれていたので、めちゃくちゃかっこよかったです(笑)」と感謝した。
◆映画「しらぬひ」
本作は、『君の名は。』『すずめの戸締まり』のコミックス・ウェーブ・フィルムが見出した新たな才能・片野坂監督が描く短篇アニメーション映画。物語の舞台は1996年、夏の終わり。熊本の海辺の町で暮らす10才の少年・湊(あの)は、酒に溺れる父・マサル(三木)とふたりきりで息をひそめるように生きていた。唯一の心の拠り所は、弁天島に現れる少女の神さま“べんちゃん”(花澤)。彼女と過ごすひとときだけが自分を取り戻せる時間だった。しかし児童保護施設への湊の一時保護が決まり、べんちゃんとの別れの時が迫る。
湊は、ひとつだけ願いを叶えてくれるという海に浮かぶ不思議な光<しらぬひ>に祈りを捧げるが、父への憎しみが募るにつれ、その“祈り”は取り返しのつかない“呪い”へと姿を変えていく。喪失と赦しの果てに、湊が辿り着く「ほんとうの願い」とは−−。愛を求めるがゆえにすれ違い、憎しみに呑まれていく少年。その奥底で消え入りそうな心をそっと抱きしめる、愛の物語だ。(modelpress編集部)
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