売買春の規制を話し合う法務省の有識者検討会(座長:早稲田大学・北川佳世子教授)は8月24日に東京都内で会合を開き、報告書案を大筋で了承した。
報告書案には現行の売春防止法で処罰対象となっていない「買う側」の勧誘行為などになんらかの規制を設けるべきだとの見解でおおむね一致したことが明記されたが、ここにはもうひとつの議論があった。
現行の売春防止法における「売春」の対象行為は「対償を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」。この場合の「性交」は膣内に陰茎を入れることであり、それ以外は「性交」とはみなされない。
では「性交」と定義されていない、肛門性交と口腔性交(フェラチオ)、そして「肛門への物の挿入」を新たに性交とするのか。取りまとめ報告書案には、これが今後の論点として明記された。
「売春の行為対象」を広げるべきではないか、との議論が出たのはこのためで、「尊厳確保の観点からは、肛門性交も口腔性交も性交と本質的な差はない」というものだ。また、男性同士の路上売買春では「肛門を使用する」という意見も、会合の中で出ている。
風俗店経営者のほとんどは「該当」することになる
もちろん、反対意見もある。
「課題は路上売買春が公然と行われていることへの対処」
「性交以外の行為を『売春』の対象に含めると、性風俗産業従事者の多くが職を失うなど、大きな影響が生じるおそれがある」
というもので、これは「売春を口腔性交に広げると、風俗店を経営する人たちのほとんどは、周旋や場所の提供に該当することになってしまう。風俗が地下化して、治安が悪化する」というロジックだ。
売買春を徹底的に取り締まるとなれば、特殊浴場(ソープランド)など「店は場所だけ提供し、行為は成人間の合意に基づいているので売春ではない」という論理で成り立っている風俗産業も微妙な立場に置かれる。
検討会では「性風俗産業の年間市場規模は2~5兆円。推計従事女性キャストは約215万人。合法的な風俗店を守り、女性の生活を守ることも重要だ」との意見が出た。
9月に報告書がまとめられ、今秋の臨時国会で売春防止法改正案が提出される方向だ。お尻やお口の大問題は、国会で議論されるのだろう。
(健田ミナミ)

