菌から自家製。種子島で発見された天然の麹菌を活かし、究極においしい麹と塩麹、をつくりたい

酵素の力を計るのは「酵素力価」

さらに「sy1」は専門家である佐藤さんの分析によって、麹菌の原種に近く、酵素力価は通常の種麹の2〜3倍であることが明らかになりました。酵素力価が高いとは、たとえばお肉を柔らかくしたり、素材の旨味を引き出す力が高いということを意味しています。このことはまたさらに、関さんに大きな勇気をもたらすことになりました。

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身近だった、偉大な調味料との協働へ

5年間に及ぶ関さんの天然麹菌への旅を、すぐそばで見守っていたのが夫の鉄弥さんです。種子島に移住した23年前から、伝統的な手法で天日塩をつくっている塩職人さんです。

関さんは天然麹菌sy1と、鉄弥さんがつくった天日塩を使い、塩麹を開発することにしたのです。酵素力価が高い麹と、煮詰めないことでミネラル豊富な塩を組み合わせることによって、酵素活性が残ってる塩麹になるとのこと。関さんはこれを「生塩糀」として流通化することを考えています。




鉄弥さんの天日塩は孟宗竹を使った流下式塩田。手もみによって結晶の大きさが変わるそう




sy1で製麴された麹

今回の商品化に向けて、麹を作るための麹蓋と室(むろ)といった資材をDIYで作るという関さん。さらなる安全性の確保のために、麹菌を遺伝子分析にも出すことにしたため、そうした費用のためにクラウドファンディングを立ちあげました。

「資材にする素材も、できる限り種子島のものを活かしたいと思って、種子島の杉材を使わせてもらうことにしました。これまでも自分で工夫してつくってきたので、今回は量をもっと作れるように、大きめの室を作る予定です。とはいえ自分ひとりで作れることも大切にしていて、コンセプトは『いいものを、少しずつ、手作りで』と考えています。」(関さん)




(種子島の地杉を活かして関さんがつくった麹蓋)

クラウドファンディングのリターンは「生塩糀」だけでなく、種子島の土から美しい器を焼く陶芸家・木ノ下裕一さんによる種子島焼の器や、その木下さんと鉄弥さんも含めた種子島のキーパーソンたちが丁寧に紹介されたTANEGASHIMA ZINE(タネガシマジン)、さらに、関さんによる種子島1日ガイドなど、種子島の文化を思う存分に味わえる内容が揃っています。

酵素力価が高い塩麹が気になった方はぜひ、こちらのページより詳細をご覧ください。

(取材/文:やなぎさわまどか)