電車にも乗れなくなってしまい…

夫は次の日もその次の日も、職場に行くとめまいで立てない、会社の外に出られないという状況が続きました。それでも毎日通勤しているうちに少しずつ慣れてきたのか、家と駅、職場の行き来はできるようになっていました。

夫はもともと特急電車で通勤していましたが、もし電車内で発作が起きた場合、特急電車だと停車駅が少なく「逃げ場がない」と思ったことから、各駅停車の電車通勤に変更。

そうすると、日によって波があるものの、だんだんと1駅ずつ電車を降りないと会社にたどり着けなくなっていったそうです。それでも夫は、頑張って会社へ通っていました。

ある日、夫はまた東京出張へ。そこで東京の仕事仲間とレストランに行くことになりましたが、夫はレストランに向かう道中で「今、発作が起きたらまずい……」と考えたそうです。

すると余計にしんどくなってきてしまい、なんと路上で倒れてしまいました! 東京では、人が倒れても誰も気にも留めないようで……結局、倒れたところの前にあった花屋の店員さんが、救急車を呼んでくれたそうです。

この件をきっかけに、夫は退職を決意。後日改めて病院を受診したところ、不規則な生活とストレスから来るパニック障害との診断書が出ました。

パニックの発作は、突然起こる恐怖や不快感、息が詰まる感じ、めまいなどを指します。「また発作が起こるかも」という予期不安から、発作が起こりそうな場所や逃げ場のない状況を避けるということも、パニック障害ではよくあるそうです。

退職後の夫は、しばらく何もしない状態になっていましたが、働いていなくてもパニック障害は続き、結果的に電車などの公共交通機関に乗れなくなってしまいました。ですが、その後の転職で仕事が変わってから、症状は回復傾向にありました。

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パニック障害が治ったきっかけ

その後、夫は私と結婚しました。結婚後は、発作が起きてもひとりではないという安心感からか、徐々に症状も良くなってきていました。

しかしある日夫婦で買い物に行った後、バスで帰宅していた最中にあと数駅のところで発作が起きてしまいました。

夫は「バスを降りたい」と言いましたが、歩きたくない私はそれに激怒! 「発作が起きても死ぬわけじゃないし、今までも死んでない!」と言うと、苦しみながらも夫の発作が治まっていったのです。

夫はその後も「発作が起きても死なない」と思うと、不思議と発作が治まるようになったそう。

そして発作よりも私が怒ることのほうが怖すぎて、この日を最後に夫がパニック発作を起こすことはなくなりました。