行政・国をあげて推進が進んでいる「リスキリング」をご存じでしょうか。大人になってからの「学び」の一種であり、職業能力の開発を目的として注目を集めている取り組みです。

しかし、学びといえば、学生時代で終わるものでは?といった疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

本ページでは。リスキリングの概要や、現代で求められている理由、リスキリングのメリットなどについてご紹介します。

リスキリングとは

リスキリングとは、新しい知識を蓄積することや、スキルを学ぶことを指します。2020年にダボス会議にてリスキリング革命が発表されたことで一躍有名なキーワードとなりました。

その後、行政もリスキリングへの投資に着目するようになり、現代では人材育成や能力開発などの面で少しずつ国内でも浸透しつつあります。

また、リスキリングを実施する企業及び個人には、一定の条件を満たせば補助金が適用されるといったメリットがあります。つまり、学習や研修などにかかった費用は、補助金でカバーできるチャンスがあるのです。

そのため、企業が人材育成の観点から積極的にリスキリングの拡大を図っているのはもちろんのこと、個人でも進んでリスキリングを検討する方が増えています。

ちなみに、リスキリングに似た取り組みとして「リカレント教育」があります。いずれも大人になってからの学習という意味では違いがないものの、学ぶスタイルに大きな違いがあります。

リスキリングは、業務を継続しながら自分の業務に関わる知識やスキルを習得していくことが一般的であるのに対し、リカレント教育は一旦業務を離れて大学や専門学校などで改めて学び直すことを意味します。

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リスキリングが現代で求められている理由

なぜ今、リスキリングが急に現代で求められるようになったのでしょうか。

ここからは、リスキリングが現代に求められている理由について解説します。

企業が生産性向上を目指すため

リスキリングが求められている理由には、企業の生産性向上の課題解決が挙げられます。近年、日本企業の生産性の低迷が叫ばれていますが、リスキリングがこの問題の解決の糸口となるといった考え方があります。

もちろん、業種や取り扱う製品・サービスによってリスキリングの効果には違いがあるものの、リスキリングで人材の育成やスキルの高い人材の増加を実現できれば、生産性の向上に寄与する可能性が高いでしょう。

人(従業員)への投資から、大きなリターンを得るための取り組みとして、リスキリングが求められているといった背景があります。

新たな価値創造を実現するため

リスキリングは、新たな価値創造を実現するために検討されるケースがあります。既存の業務から別の業務へと変わりたいと考えている方にとって、新しい業務のスキルは必須といっても過言ではありません。

たとえば、事務の仕事から、webコーディングの仕事に移りたいと検討するにあたって、真っ先に考えるのが「スキル面の問題」でしょう。スキルチェンジのためには、希望する業務の知識や技術が必要です。

リスキリングは上記のような新しい価値を生み出す人材になるためにも、必要な取り組みであるといえるのです。

とくに、近年はDX推進によって、「社内にITに精通する人材がいない」といった課題を抱える企業が増えています。社内の従業員をIT人材へと育てるために、リスキリングを導入する企業も多いです。

人手不足の解消のため

リスキリングが求められている理由の一つが、人手不足の解消のためです。IT人材などの専門職は将来的に大きく不足すると予測されている状況です。IT人材以外の人手の確保も難しい現代において、採用で足りない人材を補充するのは現実的とはいいにくいのが事実でしょう。

しかし、リスキリングを導入して、社内でIT人材を育てれば、積極的な採用活動を行わなくてもITに精通する人材の獲得につながります。

現代の企業にとって、リスキリングは貴重な人的資本を有効活用するための投資と考えられるのです。

自立型人材を増やすため

「指示をしないと動けない社員」という、いわゆる指示待ち人間が増えた国内において、主体的に動ける自立型人材の増加は大きな課題です。

リスキリングは、専門性を高め、主体的に動けるスキルを身につけられることから、自立型人材を増やすことにつながると考えられています。

指示待ち人間が多い現場や、指示されないと動けない部下を持つリーダーにとって、リスキリングは重要な取り組みとして挙げられるのです。