年金受給者は確定申告が不要?控除によってお得になる場合を解説

年金を受給しても「公的年金等の確定申告不要制度」によって、所得税及び復興特別所得税については確定申告は不要です。この記事では、確定申告が必要な場合、不要な場合を解説します。確定申告不要でも、医療費や社会保険料の支払いによって、控除が受けられお得なケースもあります。

公的年金受給者の定義

公的年金受給者とは、国民年金や厚生年金を受給している人のことです。日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満の全ての方が加入する国民年金と、会社員や公務員の方が加入する厚生年金があります。

公的年金には3種類あり、受給者と受給要件は以下の通りです。

障害年金と遺族年金は非課税で確定申告の対象ではありません。確定申告の対象となる公的年金は老齢年金ですが、その他、公的年金等に該当するものに企業年金やiDeCo、国民年金基金などがあります。

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公的年金受給者で確定申告が不要な場合

公的年金受給者は、所得が一定以上ある場合に確定申告が必要です。年金収入も所得の一種であり「雑所得」として課税対象になるからです。
ただし年金受給者の負担を減らすため、所得が一定以下である場合は「確定申告不要制度」を利用して申告の手間を省くことが可能です。

確定申告が不要となるのは、公的年金等の受け取りが400万円以下であり、かつそれ以外の所得が20万円以下の方です。
例えば、アルバイトによる収入や株式投資などによる利益や配当が該当します。「確定申告不要制度」の詳しい条件については、次で説明します。

確定申告不要制度とは?

公的年金受給者は原則確定申告が必要ですが、毎年確定申告をするとなると手続きが大変です。その負担を減らす目的で作られたのが「確定申告不要制度」です。

確定申告不要制度を利用できるのは、次のいずれにも該当する方です。

①公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる方
②公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である方

なお、公的年金等とは、次の年金などです。

・国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法などの法律の規定に基づく年金
・恩給(一時恩給を除く)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金
・確定給付企業年金契約に基づいて支給される年金