年金受給者は確定申告が不要?控除によってお得になる場合を解説

年金を受給しても「公的年金等の確定申告不要制度」によって、所得税及び復興特別所得税については確定申告は不要です。この記事では、確定申告が必要な場合、不要な場合を解説します。確定申告不要でも、医療費や社会保険料の支払いによって、控除が受けられお得なケースもあります。

公的年金受給者で確定申告が必要な場合

「確定申告不要制度」の利用条件に当てはまらない一定以上の収入金額がある方は、確定申告をする必要があります。

公的年金等の受け取りが400万円を超える場合や、アルバイトによる収入や株式投資などによる利益や配当が20万円を超える場合です。また、外国の公的年金の支給を受けている方は、源泉徴収の対象とならないため、この場合も確定申告が必要になります。

「確定申告不要制度」の対象者であっても、確定申告をした方がいい場合があります。住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合や、一定額以上の医療費を支払った場合、災害や盗難にあった場合などには、確定申告をすることで所得税の還付を受けられる可能性があります。
これらの還付を受けるためには、確定申告書を提出する必要があります。

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確定申告が不要でも申告した方がお得な場合

公的年金等から所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されている方は、確定申告書を提出することによって、所得税の還付が受けられる可能性があります。

扶養家族の人数が変わったり、配偶者が亡くなったりした場合

配偶者控除や扶養控除、寡婦(夫)控除は「公的年金等の受給者の扶養控除等申告書」を提出していれば適用されます。
しかし、年の途中で扶養家族の人数に変更があると扶養控除等申告書に反映されていない場合があります。その場合、確定申告をすることで還付金を受け取ることが出来ます。

医療費を多く支払った場合

1年間に支払った医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超える場合には、確定申告をすることで医療費控除を受けることが出来ます。なお、生命保険契約などで支給される入院費給付金などがある場合は、実際に支払った医療費の合計から差し引いて計算します。

医療費控除の対象となる医療費の要件は以下のとおりです。
・納税者本人または納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
・その年の1月1日から12月31日のあいだに支払った医療費であること(未払いの医療費は実際に支払った年の医療費控除の対象となります)。

【あわせて読みたい】【最新版】医療費控除とは?確定申告をすることで得られる節税効果

社会保険料を支払った場合

年金から天引きされる社会保険料のほかに、ご自身や配偶者、生計を一にする子や孫の介護保険料、後期高齢者医療保険料、国民健康保険料、国民年金保険料などを支払った場合には、確定申告をして社会保険料控除を受けることが出来ます。

生命保険料や損害保険料を支払った場合

生命保険料や損害保険料を支払った場合には、確定申告をすることで生命保険料控除や損害保険料控除の適用を受けることが出来ます。
生命保険料には、介護医療保険も含まれ、契約の種類や控除額も異なるので、以下の記事も参考にしてみてください。

【あわせて読みたい】「介護医療保険料控除」とは?控除の仕組みや計算方法、注意点を解説

ふるさと納税や寄付をした場合

ふるさと納税や国や自治体、公益社団法人や認定NPO法人などに一定の寄付をした場合には、確定申告をすることで寄付金控除を受けることが出来ます。

【あわせて読みたい】年金受給者もできる!年金でふるさと納税を行うポイントと注意点

ローンを組んで自宅を購入・リフォームした場合

住宅ローンを組んで自宅を買ったりリフォームをしたりした場合には、確定申告をすることで、住宅借入金等特別控除の適用を受けることが出来ます。

詳しくは、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。

【あわせて読みたい】住宅ローン控除で住民税が戻ってくる「住宅ローン控除」とは?

災害や盗難にあった場合

災害や盗難により損害を受けた場合には、確定申告をすることで雑損控除の適用を受けることが出来ます。修繕などの領収書や被害届の証明書は必ず取っておきましょう。

「公的年金等の受給者の扶養控除等申告書」を提出していない場合

「公的年金等の受給者の扶養控除等申告書」とは、年金から源泉徴収される所得税及び復興特別所得税について、配偶者控除などの各種控除を受けるために必要な書類で、日本年金機構などから送られてきます。

「公的年金等の受給者の扶養控除等申告書」を提出していない場合には、源泉徴収税額に配偶者控除などの所得控除が反映されていないため、税金が多く天引きされています。
確定申告をすることで、引かれすぎた税金の還付を受けることが出来ます。