独身、あるいは配偶者と死別して老後を迎えた方の中には、相続がどうなるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
おひとりさまの場合、相続トラブルが発生する可能性があるため、終活をしっかり行っておくことが大切です。
この記事では、おひとりさまの遺産を相続できるのは誰か、起きやすい相続トラブル、生前にできる相続準備などを解説します。おひとりさまの相続でお悩みの方は是非参考にしてください。
(本記事は2024年3月6日時点の情報です)
この記事を読んでわかること
- おひとりさまの遺産を相続できるのは基本的に兄弟姉妹
- 一般的な相続とは違って相続トラブルが発生する可能性が高い
- 相続トラブルを回避するには生前の準備が不可欠
- 第三者や専門家のサポートを受けることが可能
おひとりさまの遺産を相続できる人
おひとりさまが老後を迎えた場合は、遺言書を作成していない場合は民法に定められた方法で相続を進めることになります。
法定相続人がいる場合といない場合では相続する人が違うため、各ケースの理解を深めておくことが大切です。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
法定相続人がいる場合
法定相続人とは、民法に定められている遺産を相続できる権利を有する人物です。配偶者は常に法定相続人になり、それ以外は優先順位によって相続人が決まります。
- 第1順位:直系卑属(子どもや孫)
- 第2順位:直系尊属(親や祖父母)
- 第3順位:兄弟姉妹(甥・姪)
直系尊属は直系卑属がいない、兄弟姉妹は直系卑属および直系尊属がいない場合にのみ相続人として遺産を相続することが可能です。
おひとりさまで配偶者、直系卑属、直系尊属がいない場合は、兄弟姉妹が相続人になります。
法定相続人がいない場合
法定相続人がいないということは、民法に定められている遺産を相続できる権利を有する人がいない状況です。そのため、基本的には国庫に帰属する、つまり国のものとなってしまいます。
国庫に帰属した場合、使い道については指定できません。そのため、国庫へ帰属するのであれば慈善団体に寄付したいといった考えがある方は、遺言書を作成して遺贈先を指定しましょう。
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おひとりさまに起きやすい相続トラブル
おひとりさまの場合、以下のような相続トラブルが発生する可能性があるので注意が必要です。
- 相続人同士の関係が希薄でスムーズに進まない
- 財産状況の把握ができない
- 兄弟間の仲が悪くても相続される
それぞれの相続トラブルを詳しく解説していきます。
相続人同士の関係が希薄でスムーズに進まない
遺言書が作成されていない状況で相続が発生した場合、法定相続人は相続人全員で遺産分割について話し合う遺産分割協議を行わなくてはありません。遺産分割を行うには、この遺産分割協議において相続人全員の同意が必要です。
しかし、おひとりさまの場合、遺産を相続するのが兄弟姉妹や甥・姪などになることが多く、関係が希薄であることが原因で全員の同意が得られないことも少なくありません。
同意が得られないままでは遺産を分割できないため、不動産が処分されずに放置されることで税金を無駄に支払わなくてはならないといったトラブルに発展する可能性がるので注意が必要です。
財産状況の把握ができない
相続順位が高い相続人は亡くなった人(被相続人)と密接な関係にあり、財産状況を把握できている可能性が高いです。しかし、おひとりさまの場合、財産状況を他の人に伝える機会がなく、相続人が誰も財産状況を把握できていないということも珍しくありません。
把握できた分で相続税の申告を済ませたところ、申告後に新たな財産が見つかる可能性があります。その場合、追徴課税といったペナルティの対象となる可能性があるので注意してください。
兄弟間の仲が悪くても相続される
遺言書を作成していない限り、遺産は法定相続人に相続されます。そのため、兄弟間の仲が悪くても亡くなった時点で遺産を兄弟姉妹が相続することになるので注意が必要です。
兄弟姉妹とは疎遠で遺産を相続させたくない方は遺言書を作成して遺贈先を指定しましょう。