死亡退職金には相続税かかる?非課税枠とその条件
老夫婦とお金
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故人の死亡退職金を法定相続人が受け取った場合には、その受け取った死亡退職金のうち、次の非課税の部分までは相続税がかかりません。
■死亡退職金の非課税限度額
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
こちらも具体的なご相談で見てみましょう。
相談内容
父が死亡して、勤めていた会社から死亡退職金が2000万円支給されました。相続人は配偶者と子供2人です。退職金は全額、母の口座に振り込まれました。この2000万円に相続税はかかりますか。また亡くなった父は、この死亡退職金を退職所得として申告する必要がありますか。
税理士の回答
1.相続税について
お父様の死亡退職金のうち1500万円までは相続税は非課税となります。1500万円を超えた500万円が相続税の対象となります。
・非課税枠の計算
(相続人の数)3人×500万円=1500万円
・相続税の対象
(退職金)2000万円-1500万円=500万円
2.お父様の退職所得の申告について
退職金の受け取りは遺族になり、この死亡退職金は相続税の対象となるため、お父様の退職所得には該当しません。
注意点として、この死亡退職金非課税の規定が適用されるのは、受取人が法定相続人である場合のみです。法定相続人以外の人が受け取る場合は、適用できません。
参考:国税庁HP
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個人事業者の死亡退職金が非課税になる「小規模企業共済掛金」
個人事業者は事業主である本人に退職金を支給し、事業の必要経費とすることができません。しかし、退職金は遺された遺族の生活の保障にも充てられる大切なものであるため、個人事業者については次のような非課税制度が設けられています。
■小規模企業共済掛金
独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営し、個人事業者や小規模企業が退職金を積み立てる制度です。この制度を利用して事業主が退職金を積み立てておき、死亡時に受け取ると死亡退職金として相続財産がかからない特例の退職金として取り扱われます。
■小規模企業共済掛金はさらにお得なことも
毎月の掛金は、所得税の確定申告時に「所得控除」として計上することが可能です。それにより、毎年の所得税及び住民税が減少する効果もあります。
参考:中小企業基盤整備機構「小規模企業共済」