未来につながるサステナブルな旅。日本では企業とも連携して拡大、地域を元気にするユニークな試み

パンデミックの終息とともに、世界の人々が再び旅に出るようになった。そこに「サステナブル・ツーリズム」というトレンドが生まれているのを、ご存じだろうか? ただの観光にとどまらない、新しい体験が生まれる旅に出てみよう。

持続可能な観光地域づくりに向けた取り組み

「政府では『持続可能な観光地域づくり』を観光立国推進基本計画の大きな柱の一つとして取り組みを進めています。サステナブル・ツーリズムの認証を取得する地域も年々増え、連携した情報発信なども行っています」(田浦さん)

JNTOでも「自然と自然に根ざした文化」を日本の独自性ある魅力の根源として、地域のサステナブルなストーリーを発信するとともに、観光客には「レスポンシブル・トラベラー(責任ある旅行者)」としての行動を奨励。

「例えば愛媛県大洲市では、地元のガイドと自然文化体験ができるプログラムや、宿泊料を保全費に充てる大洲城城泊の体験、京都府の美山町では職人の技術継承につながる屋根の茅葺き体験等が旅行者に楽しまれています。地域のサステナビリティにつながる本物の体験は、旅をより豊かにしてくれます」(田浦さん)

また、世界自然遺産への登録をきっかけに多くの旅行客を迎えることになる地域でも、新たな観光の形を模索するユニークな試みが進んでいる。

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星野リゾートが目指す西表島でのエコツーリズム


ホテルの目の前に広がるジャングルやマングローブ林、珊瑚礁の海で、様々なアクティビティを楽しめる。ウォーターボトルのレンタルサービスも。敷地内に佇む、野生の木々や草花に囲まれた空間「ジャングルKichi」には図書館も併設

島全体で環境保全に取り組んでいるのは、希少な固有種や世界的にも珍しい動植物の宝庫である西表島だ。

「『星野リゾート 西表島ホテル』は僕も泊まりましたが、予約は2泊以上の連泊に限定されています。客室でのペットボトルウォーターのサービスも廃止。海洋ゴミをアップサイクルした商品を売店で販売したり、地元のガイドとともに巡るネイチャープログラムやアクティビティを豊富に取りそろえたり。こうしたホテルの取り組みは、『環境を守る』の次をいく『旅することで環境をよくする』という考えに基づいた、『リジェネラティブ・トラベル(再生可能な旅)』を後押ししてくれる、よい例だと感じています」(村山さん)