通知書が届かないことが十分にあり得る

この90日間の間に支払えない場合は本当に大変なことになるわけですので、通知が届いたら直ちに対応した方がいいでしょう。ところが、実はこのプロセスにおいて、日本では考えられないようなトラブルが発生することがあります。

それは、IRSからの通知書が「届かない」ことがありうるということです。そんな重要な通知書が届かないことがあるのが、アメリカの郵便事情です。実際、通知書が届かなかった結果、パスポートが取り消され、訴訟になったケースはあります。しかし、残念ながら通知書が届かなかったことを言い訳にできないとして、裁判所に訴えを退けられるのが常です。基本的には納税者が負けます。

さて、このような問題を踏まえたうえで、もう一つ信じがたい状況に陥る可能性があります。この納税者が海外にいる場合です。

海外にいるアメリカ人の場合、深刻な事態を招きかねないです。ただでさえ、郵便が届くまでに時間がかかります。そのうえ、届かないこともあり得るわけです。気づいたらパスポートが失効していることになりかねません。そうなってしまえば不法滞在です。アメリカに戻らないといけないなど、厄介なことになってしまいます。

そのため、アメリカの納税者は常に自身の納税状況を気にする必要があります。もし何かの間違いで通知書が届くような事態になったとしても、間違いなく届くように確認しておく必要があるでしょう。

そして、もし通知書が来てしまったら、専門家に相談し早急に是正しましょう。デッドラインを迎えてしまったらもう手遅れです。

予算の増強でよくなることが見込まれるとはいえ、まだまだ問題の多いIRS。しかし、それでも国家機関であることには間違いありません。面倒くさがったりなめていたりしては本当に大変なことになります。

日本と同じ感覚でいると、とんでもない目に遭うかもしれません。

税理士法人奥村会計事務所 代表

奥村眞吾