EVはまだまだエンジン車より使いにくい
今さら「何をか言わんや」だ。EVで高速道路を長距離走行すると、リチウムイオン電池が発熱し、急速充電しても、電池を保護するため満充電がしにくくなる。このため、EVで長距離を走って充電が必要な場面になると、急速充電しても満充電できず、またしばらく走って充電を迫られるという悪循環に陥る。EVの利用者であれば、誰もが経験していることだ。ネットでは多くのユーチューバーが報告している。
この約4時間もの充電時間は大きなロスタイムで、ドライバーには経済的・心理的な負担となる。エンジン車なら給油は多くても3~4回程度で、合計10分もかからないだろう。
これは日本の急速充電方式「CHAdeMO(チャデモ)」の出力が低く、使いにくいことも大きな要因だ。米テスラなどが用いる北米充電規格(North American Charging Standard=NACS)であれば出力が大きいため、チャデモより短時間で多くの電力を充電できるだろう。それでもエンジン車より使いにくいのは否めない。
ドイツ首相はエンジン車販売禁止の緩和を求める
もちろん世界にはEV先進国もある。北欧のノルウェーでは2024年の新車販売台数の約9割がEVになったという。これは優遇税制に加え、充電インフラの整備が進んでいるからだという。ノルウェーは水力発電が盛んで、再生可能エネルギーでEVを走らせることができるという点で、理想的だと思う。
しかし、日本と並ぶ自動車大国ドイツをはじめ、欧州各国のEV普及はそこまで進んでいない。日本以上に長距離移動が多い欧州では、ユーザーがEVの使いにくさを実感しているからだろう。
2035年までにエンジン車の新車販売を段階的に禁止するとした欧州連合(EU)も軌道修正に動きつつある。ドイツのメルツ首相はエンジン車販売禁止の緩和を求めている。フランス政府も「EUは一定の柔軟性を維持すべきだ」と主張するなど、欧州はEVへの完全移行は困難で、現実的でないと考えているようだ。