ファーストカーとして電気自動車(EV)を選ぶ場合、日本車は意外と選択肢が少ない。セカンドカーと目される軽乗用車では従来の日産自動車、三菱自動車工業に加え、ホンダが参入するなど選択肢が増えたが、ファーストカー向けの小型・普通車は驚くほど車種が限られる。

トヨタの日本販売EVは「bZ4X」しかない
トヨタ自動車が日本国内で販売しているEVは「bZ4X」しかない。トヨタはレクサスブランドでは「RZ」と「UX300e」を発売しているが、ちょっと車格が異なる。bZ4Xが480万円からなのに対して、UX300eは650万円から、RZは820万円からとなっている。トヨタは軽乗用車よりも小さく、二人乗りの「シーポッド」を法人やリース用に発売していたが、24年夏に生産と販売を終了している。
EVは電池(バッテリー)だけでモーターを駆動して走行するため、BEV(バッテリーEV)とも呼ばれる。トヨタは広義の電動車として、ハイブリッドカー(HV)やプラグインハイブリッドカー(PHV)のほか、燃料電池車(FCV)も市販する世界でも数少ないメーカーだ。
トヨタは世界で先鞭をつけた「プリウス」などHVはもちろんのこと、EVとHVの中間ともいえるPHVも注力している。「クラウン」「ハリアー」「RAV4」「アルファード」などPHVはバリエーションが多い。
急速充電を繰り返すと電池の劣化を早める
これに対して、トヨタのEVがbZ4Xだけというのは少々さみしい気がするが、それがトヨタの戦略なのだろう。bZ4XはトヨタがSUBARU(スバル)と共同開発したEVで、22年5月に発売した。スバルはbZ4Xの姉妹車を「ソルテラ」として発売している。
トヨタbZ4Xとスバルソルテラは当初、リチウムイオン電池を保護するため、容量の80%を超えて電池を急速充電する場合、充電量を抑制していた。
このためbZ4Xやソルテラで高速道路を長距離移動する場合、なかなか満充電できない使いにくさがあった。このため何度か急速充電しても航続距離が限られ、結果的に米テスラや韓国の現代自動車、日産などライバルメーカーの最新EVに比べて充電回数が増え、目的地に到着するまで時間がかかるといったデメリットが指摘された。
トヨタとしては、ユーザーが急速充電を繰り返すことで、電池の劣化を早めることを防ぐ狙いがあったようだ。トヨタは「短期間に急速充電を複数回実施し、電池への負荷が一定量を超えた場合、電池へダメージを与えない速度まで急速充電の速度を遅くし、電池へのダメージを抑制する制限をかけている。そのため急速充電の速度が大幅に低下する」と説明していた。