◆三越の二枚看板「世界アプリ」と「海外外商」
三越伊勢丹ホールディングスは2025年4-12月が2.7%の減収、3.1%の営業減益でした。売上、営業利益ともに、わずかに前年を下回っているのは髙島屋とよく似ています。同期間のインバウンド売上はおよそ2割減少。今年1-3月の中国・香港の観光客の売上は前年の7割程度と予想しています。
三越は海外顧客の安定化を図るため、世界アプリと海外外商の両輪による取り組みに力を入れています。海外顧客向けアプリは会員数が70万を突破。クーポンなどを配布することによって消費意欲を高めた結果、客単価はアプリ開始前と比べて9%増加しました。
海外外商は2025年4月に正式な部署として稼働を開始。海外外商顧客総取扱高は前年比で44%も増加しています。
百貨店のインバウンドは、どうしても待ちの営業スタイルになりがち。しかし、顧客基盤を整備してのリーチや、海外外商を設けることでサポート体制を厚くすることができます。三越の取り組みは、観光客減少が懸念される中で注目すべき取り組みだと言えるでしょう。
◆パルコの躍進。独自の商品力で客数を伸ばす
百貨店が苦戦する中で、好調に推移しているのが大丸やパルコを展開するJ.フロントリテイリング。2025年3-11月は2.9%の増収、3.8%の営業増益でした。免税売上は前年同期間比14.8%の増加。しかも、客単価ではなく客数の増加によって増収を成し遂げています。これは三越の高単価戦略と対局にあるもの。インバウンドは特にパルコが好調。インバウンド取扱高は前年同期間比で25%近く増加しています。パルコで展開されているエッジの効いたアイテムが外国人の心を捉え、唯一無二の商品が買えるという目的来店が増えているといいます。
かつてパルコは日本のファッションにおいて流行の先端を行く場所でした。ファストファッションの台頭などで、その力は衰えていきますが、インバウンド消費で再び日の目を見ることになりました。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

