◆認知症が進んでも「かわいい」笑顔
——とはいえ、介護ストレスを感じることもあるのではないですか。孫:僕だけでやってたら大変だったでしょうね。ただ、両親と一緒に介護をしているので、ひとりで背負っているわけじゃない。それぞれ時間を調節して、誰かが家にいるようにしています。
母方の祖母なのですが、父も積極的にみています。「この時間はいれるけど、いた方がいい?」と聞いてくれたり、お風呂やトイレに「そろそろ時間だよね」と、連れて行ってくれたり。父がいないときは、母と協力してお風呂に入れています。
——「介護で旅行に行けない」などの不満もよく聞きますが……。
孫:コロナ前は家族でよく旅行に行っていたのですが、コロナのタイミングで旅行にも行けなくなりました。ちょうど同じ時期に祖母の認知が進んで、旅行に行かない習慣がそのまま続いている感じですね。
でも、90歳を過ぎてから、認知は本当に進んできました。僕の存在はわかるけど、たまに名前を忘れることがあるみたいです。「僕の名前わかる?」と聞いて「わかんないね~」と返されても、あまりにニコニコしているから「かなしい」よりも「かわいい」が勝っちゃう(笑)。
——お孫さんは26歳ということで、家にいるよりも友だちと出かけたい気持ちが勝ちませんか?
孫:友だちと年末や夏に遊んだりはするけど、コロナやインフルエンザが怖くて、「おばあちゃんにうつしたらどうしよう」と。祖母といるのが楽しいので、ストレスもないですね。
◆戦争を経験して「今は何でも喜べるし、何でもおいしく食べられる」

孫:戦争を経験しているからでしょうね。あの頃は東京に住んでいたらしくて「戦争が本当に大変だった」という話を、昔はよくしてくれました。サイレンが鳴ると逃げるしかなくて、防空壕に入ってもミサイルが降ってきてすごい怖かった、と。
だから今は何でも喜べるし、何でもおいしく食べられる、とも聞いています。
——余生をどう過ごして欲しいと思っていますか。
孫:とにかく笑っていてさえいてくれれば、それでいいです。過去に、祖母が風邪をひいて入院したことがありました。コロナ禍で僕たちが病室に付き添えず、担架で運ばれているとき、すごくさみしそうな目をしていて……かなしくて仕方なかった。また、先日、小さい脳梗塞も見つかったんです。「コップを持つ手が斜めだ、右手の使い方がおかしい」と僕が気づいたことがきっかけでした。
——まるで介護のプロの方みたいですね。
孫:実際に介護の仕事をしている方からも、声かけや接し方を褒めてもらうことがあります。祖母への対応はこれであってるのかな? といつも不安なので、自信がつきますね。僕は自己肯定感が低い方だから、特に嬉しいのかも(笑)。
一方で「私の家は大変です」というコメントも多くいただきます。
——そういう方たちには、どんなことを伝えたいですか。
孫:周りを頼ってほしい。家族以外でも市役所やケアマネジャーさんなど、助けてくれる人はたくさんいるので。
祖母も週1回はデイサービスに通っています。他の方と話せるのがいい刺激になるみたいで、もちろん全員がそうなるわけではないですが、耳の調子がよくなって、補聴器ナシでも会話できるようになりました。

