
アヤワスカとは何か?
よくスピリチュアル界隈では「幻覚剤」と呼ばれるが、実際は化学物質ゼロ、植物のみで構成された南米で2〜3千年以上使用されているペルー政府公認のナチュラル飲料である。
ペルーでは「植物の精霊が教え導く存在」と考えられており、シャーマンや先住民たちは、病気の治療、心の傷の癒し、人生の方向を確認するために「メディスン」としてこれを用いてきたという。
パリピがクラブで使うLSDやMDMAなどテンションが上がる違法薬物とは真逆。飲むと本当に「過去のトラウマ」「不快な感覚」「後悔の念」「普段スルーしている悪行」など、目を背けてきた重い記憶や啓示が、次々とビジョンや音として容赦なく襲ってくる。それらと立ち向かうたびに、水やら胆汁を盛大に吐く。シャーマンが歌う音楽「イカロ」を聴きながら、夜8時から朝4時まで儀式は続く。
◆シピボ族の村を選んだ理由

近年、アヤワスカが「スピリチュアルツーリズム」の象徴のように語られ、観光地には修行もロクに受けていない偽シャーマンが急増している。彼らは、「キマること」だけを重視し、不適切な薬草を混ぜ、危険な量を飲ませるため、結果、参加者が深刻な被害を受けることも後を絶たない。
シャーマンは儀式の安全性・深度・意味を左右する中核的存在で、場のエネルギーを整えたり、悪霊を寄せ付けないなど重要な役割を果たす。極端に言えば、同じアヤワスカでも、誰が導くかで体験はまったく別物になってしまう。シピボ族の村にも経験値の低いシャーマンがいるし、「日本人が行っているから安全」というのも間違い。評判の悪いシャーマンに当たってしまった日本人の体験記もネット上には多い。
事前に英語やスペイン語で詳しくチェックする努力を惜しんではいけない。
◆カンボ儀式──カエルになった私

……が、これが想像の3倍はキツかった。
前日から断食し、儀式直前に右腕をマッチで4か所焼かれる。直径5ミリほどの根性焼きだ。そのただれた部分にカエルの毒を塗り込む。毒はリンパを通って血中へ入り、発汗、浮腫、激しい嘔吐を引き起こすらしい。らしい、で済む話ではないが……。
そして1リットルの水を一気飲みさせられ、シャーマンが太鼓をズンドコ叩きながら「カンボ〜カンボ〜」と歌い始めて20秒後、地獄が訪れた。
目が回り、吐き気と頭痛が同時に襲う。40度の熱にうなされている感覚の、さらにその上のキツさ。「水を飲め」と促されるが、一滴も入らない。太鼓の音が煩わしく、殺意すら湧くが、「やめてくれ」という声すら出ない。
無理やり水を数滴飲んだ瞬間、まるでマーライオンのように大量の水を胆汁とともに吐き出した。それを2回繰り返すと今度は体が石のように硬直し、全身に「ピピピピピ」という電子音のような音が駆け巡った。毒ガエルが全身をスキャンしている、と直感した。
気づけば、マットに横たわり、手はパーで開いたまま、膝を立て、股をM字に開いた、インリン・オブ・ジョイトイならぬ「スミ・オブ・フロッグ」が完成していた。完全にカエルになっていたのである。
「わ、わたしは……カエル……」

30分後、苦しみも徐々に和らいでいき、ようやく「生還した」という実感が得られた。だが、すぐに回復するわけではなく、夜まで下痢と頻尿でトイレから離れられなかった。

