◆国民的な盛り上がりには、地上波での無料放送が必須?

ところが、日本ではその準備段階にすらなく、そうした〝空白地帯〟にNetflixという巨人がやってきて、日本人の娯楽に課金した。これが今回のWBCの放送をめぐる不満に繋がっているのです。
当初からNetflixによる配信には疑問の声があがっていました。球界のご意見番、広岡達郎氏は、「ネットなんとかの視聴方法がよくわからん」と怒りをあらわにし、本来野球を世界に広めるためだったWBCが商業主義に染まってしまったと、厳しく批判しました。
コメンテーターの玉川徹氏も、ほとんど観なかったと明かし、ユニバーサルアクセス権を引き合いに出し、今後の日本でのWBC放送のあり方に懸念を表明していました。
ネット上の声も、この両者の意見に近いものが大半です。国民的な盛り上がりとなっていくためには、地上波での無料放送は必要である、という声です。
確かに、今大会の視聴者は試合の映像を観ていないのに、ニュースやワイドショーの出演者はハイテンションというチグハグはあったかもしれません。
その意味でも、うまく噛み合わなかったのでしょう。
◆野球はいまでも「国民的な関心事」だと言い切れるのか
しかし、一方で野球という競技が置かれている現実にも触れなければなりません。ずばり、野球はいまでも国民的な関心事だと言い切れるのでしょうか?
そこで今大会でのNetflixのプロモーションを振り返りましょう。
B’zの稲葉浩志がアニメ『タッチ』の主題歌を歌う。そして、ポスターには1995年と1996年に当時の長嶋茂雄巨人軍監督による「MAKE DRAMA」のコピーをそのまま使用していました。さらには、VTRのナレーションに、『タッチ』の朝倉南の声を担当した日髙のり子を起用。
ここからあることに気付かないでしょうか?全て80年代から90年代のサブカルチャーだということです。つまり、40代より上の人たちに刺さる要素だけで今回のWBCのプロモーションは構成されているのです。
Z世代はおろか、30代の人たちにとっても全くピンとこないでしょう。

