◆野球はもはや“高齢者の娯楽”?
このプロモーションが示すところは明確です。野球を観る層は限られている。もっと言うならば、高齢者限定の娯楽だという厳しい現実なのです。少子化にともない、野球の競技人口はピーク時の2000年の約600万人から、297万人にまで半減しているというデータもあります。今後もこの傾向に拍車がかかることは明らかです。
野球ファンの数そのものは横ばいをキープしながらも、多くはかつて若者だった人たちがそのまま加齢している状態です。サッカーも同様の問題を抱えています。
では、そのように加齢していく固定客によってようやく支えられているコンテンツは、すべての国民にとって等しく関心事だと言えるのでしょうか? そしてその公共性に正当性を与えることに、果たしてどれほどの根拠があると言えるでしょうか?
◆「Netflix独占配信」が突きつけた現実
前回大会までの17年間、地上波の公共性によって放送されながらも、競技人口や新規ファン層を飛躍的に拡大させられていない現状を軽視すべきではありません。だとすれば、地上波だろうがNetflixだろうが、盛り上がる人たちの分母に大きな差は生じないと考えるのが自然なのだと思います。
だからこそ、40代以上にターゲットを絞ったNetflixは正しいのです。もはや成長の余地がなくなったマーケットで効果的に利益をあげていくためのプロモーションを展開したからです。
日本での野球は、一部の人たちにとっての最大関心事にすぎない。その冷徹な判断から、独占配信という解が導き出されたのです。
ベネズエラ戦の敗戦以上に、日本球界が突き付けられた痛切な現実なのです。
文/石黒隆之
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。X: @TakayukiIshigu4

