それでも夢は諦められない
とはいえ、Bさんにとって地元での暮らしは長年の夢でした。「このまま東京で人生を終えていいのか」――そう思うと、諦めきれません。
最終的に、夫婦の間で浮上したのは「別居婚」という選択でした。Bさんは地元に戻り、妻は東京に残る。月に一度くらい行き来する形です。
しかし、この形にも課題は少なくありません。生活費が二重にかかること、どちらかが体調を崩したときにすぐ駆けつけられないこと。高齢になるほど、距離のある生活は負担になる可能性があります。
それでもBさんは「後悔はしたくない。どうしたものか」と悩んでいるといいます。
老後の移住は「夫婦の温度差」が起きることも
移住に限らず、夫婦の老後に対する意見や認識の食い違いは珍しくありません。熟年離婚が増えている背景に、こうした価値観のズレがあるともいわれています。
Bさんのケースでいえば「Uターン移住」に対する考えの相違があるわけですが、故郷への思いが強いほど、移住後の生活に理想を描きすぎてしまうこともあります。
実際に戻ってみると、知り合いはほとんどいない、商店が閉店している、高齢化が進んでいるといった現実に直面することも少なくありません。
思い出の中の懐かしい故郷と、現在の生活環境は大きく違う場合もあるのです。都会暮らしが長いほど、ギャップを強く感じることもあるでしょう。
もし地方移住やUターンを考えるなら、実際に長めに滞在してみる「お試し移住」や、医療や交通など、最新の生活環境を確認するといった準備が欠かせません。
働くために東京などの大都市で生きてきた。けれども、最後は生まれ育った土地に帰りたい――そんな思いを抱く人もいるでしょう。しかし、もし配偶者がいる場合、その人にとってどんな暮らしになるかという視点も、また重要です。
思わぬ行き違いを生まないために、夫婦の老後については、できるだけ早く、また具体的に話し合いをすることが大切だといえるでしょう。
