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母を思うと悔しくて…嫁と孫に尽くし続けた78歳母の死を悼む50歳長女。「この家は私たちのもの」と主張する長男の嫁に淡々と伝えた“当然の代償”【CFPが解説】

母を思うと悔しくて…嫁と孫に尽くし続けた78歳母の死を悼む50歳長女。「この家は私たちのもの」と主張する長男の嫁に淡々と伝えた“当然の代償”【CFPが解説】

長男の嫁・チナミさんが直面した現実

サワコさんの法定相続人は、長男のコウジさんと、結婚して遠方に暮らす長女のミワさん(仮名・50歳)の2人。遺産は、二世帯住宅のうちサワコさん名義となっている不動産(建物の1階部分)と1,500万円の預金で、遺言書はありませんでした。

葬儀から1ヵ月後。2人は遺産相続の話し合いのため、長男宅である二世帯住宅に集まりました。

「遺産はきっちり半分でいいよね?」

長女ミワさんの言葉を聞いて、コウジさんより先に口を開いたのは妻のチナミさんでした。

「ちょっと待ってください。半分といっても、この家は私たちのものですよね?」

「いいえ、母の遺産はきっちり折半したいの」

ミワさんは一切譲りません。毅然とした態度でチナミさんと対峙するミワさんには、ある決意がありました。

「報われないまま亡くなった母を思うと悔しくて……弟夫婦の思惑通りにはしたくなかったんです」

実はミワさんは、疲弊しきった晩年の母の姿を知っていたため、チナミさんに対してうっすらと憎しみを抱いていたといいます。

「どうしてもこの家を相続したいのなら、代償金を払ってもらいます」

「え、代償金?」

「代償金」とは、不動産のように分割できない財産を相続した人が、他の相続人に対して代わりに支払う金銭のこと。チナミさんは、義理の両親が亡くなればこの家は当然自分たちのものになると思っていたため、ミワさんの主張に愕然とします。

売却して現金で分ければ、自分たちの住む場所がなくなる。しかし、代償金を支払わずに共有名義にすると、将来の売却や修繕で必ず揉めることが目に見えている――。

いずれにしても不利になる現実を前に、チナミさんは言葉を失いました。

不動産相続は揉める

不動産は分割が難しいため、相続トラブルに発展するケースが散見されます。特に二世帯住宅の場合、子世帯が実際に居住していることもあり、特に揉めやすいです。

今回紹介したケースについて、たとえば不動産の相続評価額が2,500万円だった場合、遺産総額は4,000万円(不動産2,500万円+預金1,500万円)となります。そこで、ミワさんが言うとおり遺産を折半するとなると、それぞれの相続分は2,000万円です。

そのため長男のコウジさんが不動産を相続し、長女のミワさんが預金を相続する場合、コウジさんは差額の500万円を「代償金」としてミワさんに支払わなければなりません。

遺産のなかで不動産の割合が大きい場合に「相続対策が必要」といわれるのは、こうしたトラブルが起こりやすいためです。

トラブル防止に役立つ遺言書が普及しないワケ

こうした相続トラブルを避けるために有効な手段のひとつが、「遺言書の作成」です。

日本公証人連合会「遺言公正証書の作成件数について」によると、2025年に全国で作成された公正証書遺言書は12万3,891件でした。ちなみに前年(2024年)は12万8,378件、2年前(2023年)は11万8,981件と、遺言書の活用はさほど伸びていないのが現状です。

作成が伸び悩む背景には、「遺言書を書くほどの財産はない」「うちは家族仲がいいから問題は起こらない」といった考えがあります。

しかし、たとえ法定相続人同士の仲が良くても、その配偶者が介入するなどしてトラブルに発展する場合も少なくありません。

すべてを完璧に準備して旅立つことは難しいものの、トラブルの芽を摘んでおくという意味でも、できる限り事前対策を講じておくことをおすすめします。

山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表

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