まとめ|花に惚れる多肉という新境地
多肉植物というと、造形やフォルムを楽しむもの、そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。
その中でレウィシアは、「花に惚れる多肉」という、少し特別な存在です。
今回この植物を選び、日々の管理をしているのは筆者の妻。
彼女が店頭で迷いなく手に取ったその理由も、やはり「花の美しさ」でした。
コンパクトで可愛らしい葉の合間から、次々と咲き上がる鮮やかな花は、思わず目を奪われる魅力があります。
一方で、日本の高温多湿という環境は決して優しいものではありません。
ですが、置き場所や光、水やり、そして夏越しの工夫によって、そのハードルはしっかりと乗り越えることができます。
屋外、室内、あるいはその組み合わせ。
「育て方の正解はひとつではない」というのも、この植物の面白さです。
その面白さを、引き続き妻とともに楽しんでいこうと思います。
レウィシアという植物が、あなたにとっての新しい多肉植物の楽しみ方のひとつになれば嬉しいです。
属名のLewisiaは、アメリカの探検家であり植物採集にも貢献した Meriwether Lewis に由来します。
彼は19世紀初頭、北アメリカ西部の開拓調査を行った「ルイス・クラーク探検隊」の一員として知られています。
種小名 cotyledon は、植物学では「子葉」を意味する言葉ですが、その語源はギリシャ語で「杯」や「くぼみ」を意味する kotylē に由来します。
Lewisia cotyledonにおいては、この語源的な意味合いから、厚みがありややくぼんだカップ状にも見える葉の形を表したもの、と考えられています。
レウィシアの和名「岩花火」は、岩場に自生する性質と、鮮やかな花を次々と咲かせる様子を花火に見立てたことに由来すると考えられています。
原産地である北アメリカ西部では、レウィシアは水はけのよい岩場や礫地に自生し、厳しい環境の中で色鮮やかな花を咲かせます。
その姿が、日本において「岩に咲く花火」のように映ったことが、この名前の背景にあるといえるでしょう。
なお、「岩花火」という名称の明確な命名者や命名時期についてははっきりとした記録は確認されていませんが、レウィシア自体は、西洋のロックガーデン文化や高山植物が盛んに紹介された明治末から大正期にかけて日本に持ち込まれた可能性が高く、遅くとも昭和初期には園芸植物として一定の認知を得ていたと考えられます。
その後、山野草や高山植物を愛好する文化の中で徐々に親しまれ、特に近年では園芸品種の普及により花色のバリエーションが飛躍的に増加。
その華やかさから観賞用植物としての人気を高めています。
レウィシアがこれほど手に取りやすい価格で流通している理由としては、園芸品種の改良が進み、増殖や量産がしやすいこと、さらに安定した供給体制が確立されている点にあります。
加えて、日本の高温多湿な夏に弱いという性質も関係しています。
環境によっては夏越しに失敗してしまうケースも多々あるため、園芸店では「シーズン植物」や「1年草」のような扱いで販売されることも少なくありません。
しかし、いくつかのポイントを押さえて管理することで、日本の夏を乗り越え、本来の多年草として毎年花を楽しむことも十分に可能です。
具体的な方法については、後の育て方の章で詳しく解説します。
結論からいうと、前述の夏越し時のフォーメーションを用いれば、年間を通した完全室内栽培も十分に可能です。特に、日中は仕事で不在になる方や、日当たりの確保が難しい住環境(バルコニーがない、北向きの部屋など)では、光(育成ライト)・風(サーキュレーター)・温度(エアコン)を適切にコントロールし、室内で環境を作り込むことで、より安定した成長が期待できます。
重要なポイントは、エアコンによる極端な高温や低温を避け、温風や冷風を直に当てないこと。
また、育成ライトは万能ではなく、当然ながら太陽光に比べると光のエネルギーには限界があるため、株の成長速度や花付きは、屋外に出すケースに比べ差が出ることはあります。
しかし、「環境が安定する」というメリットは大きく、管理のしやすさという意味では大きな強みになります。
屋外管理だけが正解ではありません。
自分のライフスタイルに合わせて無理のない方法を選ぶことも、長く楽しむための大事なポイントです。
記事協力
Calflora https://www.calflora.org/Special thanks to Cynthia Powell (Executive Director, Calflora) for coordination.

LED lighting provided by BRIM (“FLORA” Plant Growth LED Light)
Credit 文&写真(クレジット記載以外) / 編集部員K - ライター・エディター -
フリーランスのロックフォトグラファーの傍ら、サボテンを愛し5年、コーデックスに魅せられ3年を経て、2022年4月にガーデンストーリー編集部に参加。多肉植物関係の記事を中心に、精力的に取材&執筆を行う。飼い猫「ここちゃん(黒猫♂6歳)」に日々翻弄されている。
