弁護士の見解
本事例のような「親の財産の使い込み」が疑われるケースでは、法的には、不当利得返還請求や遺産確認の訴えといった形で争うことになります。
ただし、ここで最も大きなハードルとなるのが「何が使い込みだったのか」を具体的に立証する必要があるという点です。
一般的に、単に預金が減っているというだけでは足りず、「誰が・何に・いくら使ったのか」を客観的な証拠で裏付ける必要があります。
実務上のポイントは、支出先の特定です。
たとえば、有名ブランドの財布やロレックスのような高額かつ個人の趣味性が強い支出は、使い込みと評価されやすい傾向にあります。一方、高級外車やスマートフォンについては、「通院や介護に必要だった」「連絡手段として不可欠だった」といった反論も想定されるため、その利用状況や必要性まで踏み込んだ検討が必要です。
さらに、この種の紛争は当事者間の感情的対立が激しく、証拠収集にも時間を要するため、長期化が見込まれます。
通帳の動きに違和感を覚えた段階で、早期に専門家へ相談し、資料の確保や整理を進めることが重要です。感情としては許しがたい場面でも、法的には「証拠で語るしかない」という点が、最も重要なポイントといえるでしょう。
山村暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
