離婚を後悔しないために
今回紹介したアケミさんのように、先の見通しが甘かった故の離婚後の後悔は少なくありません。特に、夫に扶養されていた妻が離婚を望む場合、少なくとも次のような事前準備が必要でしょう。
1.経済的自立が可能かのシミュレーションをしてみる
1,500万円という金額は、一見まとまった金額のようにみえるでしょう。しかし、たとえば月に15万円で生活する場合、年間180万円が必要になり、1,500万円は8年ほどで消えてしまいます。
2.「生きていくための仕事」をする覚悟があるか自分に問う
59歳という年齢の再就職の厳しさや、体力的な限界も認識しておく必要があるでしょう。また、「理想の仕事」が「生活のための仕事」にできなかった場合の想定も大切です。
3.高齢者の賃貸リスク
離婚後に賃貸住宅に住む場合、高齢になると「住み替え」が難しくなるというリスクも念頭に置いておきましょう。いずれ実家を相続する予定であれば一定の安心は得られますが、そうでない場合は何らかの対策が必要かもしれません。
4.社会保険料や税金の自己負担を理解しているか
夫の扶養から外れると、社会保険料や税金を自ら負担する義務が生じます。手取りにどの程度影響するのか事前にシミュレーションして生活設計を立てないと、思い描いた生活ができないことがあります。
離婚を決断する前の「3つの鉄則」とは
離婚を口にする前に、次の検証をしてみましょう。
1.100歳までの「キャッシュフロー表」を作成
現在の資産から、年金を含めた今後の予測収入と、大きな支出が予測されるライフイベントなどを表に当てはめて、将来の資産を可視化してみましょう。資産は100歳まで残りますか?
2.「稼ぐ力」を客観視
離婚を決断するまでに、自分が社会で「実際にいくら稼げるのか」をパートやアルバイト、派遣などでもいいので実践してみましょう。現実を直視したうえであらためて「離婚の覚悟」を決めるか、「離婚しない」を選択するのか冷静な判断をしてください。
3.「住まい」の確保
住まいの確保は不可欠です。賃貸住宅に住む場合は一生ランニングコストがかかります。勤労収入がなくなり年金収入のみとなっても同様です。実は現金で財産分与を受けるよりも、住宅ローンのない住居を確保するほうが、長期目線では安定する場合もあります。
自由には責任が伴います。離婚して「自己責任というコスト」を払いきれるのかを今一度検証する必要があるのかもしれません。感情的な解放感に流されずに数字に基づいた「出口戦略」を立てることが「後悔しない離婚」への条件ではないでしょうか。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表
