
定年前後は、給与所得から年金生活へと家計の構造が大きく変わるタイミングです。この転換期に、資産を「どう守り、どう使うか」の指針を立てておくことは、将来の相続トラブルや資金不足を防ぐ有効な手段となります。本記事では、川口幸子氏による著書『投資経験ゼロでも老後を豊かにできる! 定年5年前に読むお金の本[超入門]』(PHP研究所)より、定年後の生活をスムーズに開始するために取り組むべき実務的な備えを解説します。
相続が心配…専門家への相談タイミングと選び方
個別の事情は人それぞれです。「うちの場合はどうなんだろう?」と感じる点があれば、遠慮なく専門家に相談しましょう。
相談するタイミングは「定年前」がベスト!
専門家に相談するのは、やはり「定年前」がおすすめです。定年は、働き方が変わり、お金の流れを見直す大きな節目。このタイミングで、相続や贈与といった将来のことも含めて、一度プロの視点からアドバイスを受けておくことは非常に有意義です。
「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちに、予期せぬ病気や認知症などで判断能力が低下してしまうと、取れる対策も限られてしまいます。元気で判断能力がしっかりしている定年前だからこそ、落ち着いて将来の計画を立てられるのです。
誰に相談すべきか?専門家の選び方
税理士は相続税や贈与税の計算、納税に関する相談、節税対策など、税金に関する専門家です。相続税がかかりそうな場合や、生前贈与を計画的に行いたい場合に適しています。
弁護士は、遺言書の作成(特に複雑な内容の場合)、遺産分割協議のサポート、相続トラブルの予防や解決など、法律に関する専門家です。家族関係が複雑な場合や、法的な手続きで揉める可能性がある場合に頼りになります。
司法書士は、不動産の相続登記(名義変更)や、遺言書の作成支援(定型的な内容の場合)、成年後見制度の手続きなどを依頼できます。登記や書類作成の専門家です。
行政書士は、遺産分割協議書や、比較的簡単な内容の遺言書の作成支援などを依頼できます。書類作成の専門家ですが、法律相談や登記申請はできません。
ファイナンシャル・プランナー(FP)は、相続対策も含めた、総合的なライフプランニングや資産管理の相談に乗ってくれます。特定の分野だけでなく、家計全体や保険、資産運用など、幅広い視点からアドバイスが欲しい場合に適しています。
信託銀行や信託会社は、遺言信託(遺言書の保管・執行)や、商事信託(財産管理信託)を検討する場合の相談先となります。
専門家を選ぶ際には、まず得意分野を確認しましょう。同じ資格でも、相続や高齢者問題に詳しいかどうかは異なります。「相続」「終活サポート」などを掲げているか確認しましょう。また、無料相談などを利用して、話しやすさや信頼感を確かめ、相談料や費用体系を事前に確認しておきましょう。可能であれば、複数の専門家の意見を聞いてみるのもよいでしょう。
信頼できる専門家を見つけ、早めに相談することは、将来の安心への投資です。一人で抱え込まず、プロの力を活用してください。
ポイント
■専門家には、定年前の元気で判断能力が高いうちに相談しよう
■相談内容に応じて適切な専門家を選び、相性を確認しよう
「健康」への投資の重要性
セカンドライフを楽しむためには、「健康」が土台となります。健康を維持することは、実は将来のお金の不安を減らすための、効果的な「投資」でもあるのです。
健康維持が最大の節約になる
健康を損なえば、医療費や薬代、介護費用がかかり、旅行や趣味を楽しむ気力も湧かなくなります。再就職も難しくなるでしょう。一方、健康であれば、医療費を抑えられるだけでなく、アクティブに活動でき、働く意欲があれば収入を得ることも可能です。健康であることは、経済的な安定と豊かな生活の基盤なのです。
お金をかけるべきは、定期的な健康診断と予防接種です。市区町村の検診制度を活用すれば費用を抑えられ、病気の予防、早期発見・早期治療につながります。一方、高額な健康器具、過剰なサプリメント、高級スポーツジムには必ずしもお金をかけなくてもよいでしょう。健康器具は結局使わなくなるケースが多く、サプリメントも効果が科学的に証明されていないものが多いのが現実です。
ポイント
■定期健診や予防接種にお金を使い、高額器具などは慎重に判断しよう
