生誕100年を迎えて

ファッションブランド・HANAE MORI(ハナエモリ)の創設者であり、デザイナーである森英恵。1950年代に映画衣装の制作からキャリアをスタートさせ、1965年にニューヨークコレクションで初の海外デビュー、70年代には厳格な基準を満たすメゾンのみが入会できるパリ・オートクチュール組合にアジア人で初めて正会員として加盟するなど世界的な評価を確立してきた。
日本の布地や伝統的な美意識を現代的に昇華させたその作品は、時代や国境を越えて多くの人々を魅了。長年にわたって日本のファッションを牽引した人物としても知られている。
森英恵の生誕100年という節目を迎えた2026年。彼女の功績と生き方を辿る大回顧展が開催される。
「ヴァイタル・タイプ」という生き方
生誕100年を迎えた今なお、時代を超えて受け継がれ、現代においても影響を与え続けている森英恵の生き方と思想。そのひとつが本展のタイトルにもなっている「ヴァイタル・タイプ」だ。

「ヴァイタル・タイプ」とは、森英恵が1961年、雑誌『装苑』にて提唱した人物像。「生命力に溢れ、敏捷(びんしょう)げに目を光らせた女性」――森英恵が理想としたその姿は、そのまま彼女自身の生き方となっている。
家庭と両立しながら社会で活躍し、創作に打ち込むその姿は、デザイナーという枠を、そして時代を超えて、今を生きる私たちにも力強いメッセージを投げかけてくれる。女性の社会的な立場がなお問われる現代において、その姿は、困難を乗り越えるための指針となり、性別を超えて、自分らしく生きるためのヒントともなり得るだろう。
