3.段差をなくすリフォームで活用できる補助金・減税制度
段差をなくすリフォームで活用できる制度は、大きく分けて以下の2つがあります。
補助金制度
減税制度
それぞれ見ていきましょう。
3-1.補助金制度
段差解消リフォームで活用できる補助金制度として、以下の2つを紹介します。
介護保険制度の住宅改修
自治体の助成金制度
3-1-1.介護保険制度の住宅改修介護保険制度の住宅改修は、要支援・要介護認定を受けている方を対象に、段差解消などのリフォーム費用の一部が支給される制度です。制度の概要を、以下の表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 要支援・要介護認定を受けている方 |
| 支給限度基準額 | 20万円(1人1住宅につき) |
| 自己負担割合 | 1〜3割(所得に応じて異なる) |
| 支給額の目安 | 最大18万円(1割負担の場合) |
| 対象工事の例 | ・段差解消 ・手すりの取り付け ・床材の変更 ・扉の取り替え ・便器の交換 など |
20万円の上限は原則一度限りですが、要介護区分が3段階上がった場合や別の住宅に転居した場合は、再度支給対象となります。利用する際は、市区町村への事前申請が必要です。ケアマネジャーへ相談し、流れを確認しておきましょう。
3-1-2.自治体の助成金制度自治体独自の助成制度は、介護保険でカバーしきれない費用を補完できる場合があり、介護保険との併用が可能なケースもあります。以下はその一例で、内容や金額、対象工事などは自治体によって異なります。
| 自治体 | 制度名 | 補助上限・助成率 | 対象工事の例 |
|---|---|---|---|
| 千葉市 | 高齢者住宅改修費支援サービス事業 | 上限あり(要問い合わせ) ※対象工事費の上限は70万円で、助成割合は所得に応じて異なる |
・手すりの取り付け ・段差の解消 ・床材の変更 ・引き戸への交換 など |
| 京都市 | 京都市介護予防安心住まい推進事業 | 上限16万円(費用の2/3を助成) ※市民税非課税世帯かつ要介護・要支援認定を受けていない事業対象者が対象 |
・手すりの取り付け ・段差の解消 ・床材の変更 ・引き戸への交換 など |
| 大阪市 | 高齢者住宅改修費給付事業 | 介護保険の対象外工事に補助 ※所得段階により給付率・上限額が異なる |
介護保険制度に関連するが支給対象外となる工事 ※介護保険制度の住宅改修と同時に行われる工事であること |
出典:千葉市「高齢者住宅改修費支援サービス事業」
出典:京都市「京都市介護予防安心住まい推進事業実施要綱」
出典:大阪市「高齢者住宅改修費給付事業」
お住まいの自治体の制度は、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」で調べられるので、ぜひ活用してください。
3-2.減税制度
段差解消リフォームでは、以下の2つの減税制度も活用できます。
リフォーム促進税制(所得税)
リフォーム促進税制(固定資産税)
3-2-1.リフォーム促進税制(所得税)リフォーム促進税制(所得税)は、バリアフリー改修工事を行った場合にその年の所得税が一定額控除される制度で、住宅ローンなしで利用できます。
令和8年度税制改正大綱において現行の特例措置が3年間延長されることが盛り込まれました。制度の概要は、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 要件 | ・以下のいずれかの条件を満たす方であること ①50歳以上の方 ②障害を持っている方 ③要介護・要支援認定を受けている方 ④親族(65歳以上、②または③に該当する方)と同居する方 ・リフォームを行う方が所有・居住する家屋であること ・床面積50㎡以上(登記簿表示)であること ・対象のバリアフリー改修工事であること ・標準的な工事費用相当額(補助金などを除く)が50万円超であること |
| 控除額 | 標準的な工事費用相当額の10% (控除対象限度額200万円、最大控除額20万円) |
| 対象工事の例 | ・通路幅の拡張 ・手すりの設置 ・段差の解消 ・滑りにくい床材への変更 など |
| 適用期限 | 令和10年(2028年)12月31日までに改修工事が終了し、居住を開始していること |
出典:国土交通省「リフォーム促進税制【所得税・固定資産税】について」
控除を受ける場合は確定申告が必要で、増改築等工事証明書などの書類を税務署に提出しなければなりません。申告漏れのないよう、工事前から必要書類を確認しておくと安心です。
3-2-2.リフォーム促進税制(固定資産税)リフォーム促進税制(固定資産税)は、バリアフリー改修工事を行った場合に、翌年1年間の固定資産税が3分の1減額される制度です。令和8年度税制改正大綱において、現行の特例措置が5年間延長されることが盛り込まれました。制度の概要は、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 要件 | ・以下のいずれかの条件を満たす方であること ①65歳以上の方 ②障害を持っている方 ③要介護・要支援認定を受けている方 ・新築から10年以上経過した賃貸でない家屋であること ・床面積50㎡以上280㎡以下(登記簿表示)であること ・対象のバリアフリー改修工事であること ・減税対象の工事費用(補助金などを除く)が50万円超であること |
| 軽減割合 | 翌年1年間の固定資産税が1/3減額 |
| 対象工事の例 | ・通路幅の拡張 ・手すりの設置 ・段差の解消 ・滑りにくい床材への変更 など |
| 適用期限 | 令和13年(2031年)3月31日までに改修工事が終了していること |
出典:国土交通省「リフォーム促進税制【所得税・固定資産税】について」
工事完了後3か月以内に市区町村へ申告が必要で、期限を過ぎると適用されないため注意してください。延長により申請の猶予は広がりましたが、工事後の申告期限は変わらないので、忘れずに手続きを進めましょう。
4.段差をなくすリフォームの実例3選
ここからは、段差をなくすリフォームの3つの実例を紹介します。
段差のある玄関&部屋を車椅子で通れるようリフォーム
フローリング上張りによる段差解消リフォーム
排水方式の変更で家全体の段差を解消したリフォーム
4-1.段差のある玄関&部屋を車椅子で通れるようリフォーム
自宅と隣接する物件を賃貸として利用していましたが、入院から帰宅されるお母様のお部屋としてリフォーム。お母様が活き活き暮らせるとともに、介護や車椅子での生活を見越してプランニングしました。
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大きな段差があった玄関には、車椅子用のスロープを設置。間口も狭かったため、両開きの親子ドアに交換することで間口を約2倍に広げました。上り框にも段差がありますが、式台という板を置くことで車椅子でも通行できる高さ設定です。
室内も車椅子で移動しやすくするため、介護用のフラットな床材に変更しています。敷居もバリアフリー対応のものに変更し、スムーズな移動を叶えました。
| リフォーム費用 | 316万円 |
|---|---|
| リフォーム面積 | 35㎡ |
| 工事期間 | 1ヶ月 |
| 築年数 | 40年 |
| 工事内容 | ・玄関スロープ設置 ・玄関ドアの拡張、交換、土間工事 ・間取り変更、内装工事 ・トイレ交換、拡張工事 ・洗面台取り付けなど |
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/823
4-2.フローリング上張りによる段差解消リフォーム
ご夫婦でお住まいの自宅をリフォーム。設備が古くなってきたことが、リフォームのきっかけです。キッチンや浴室などの設備を新しくするとともに、リビングの段差解消などバリアフリーも考えたリフォームを実施しました。
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リビングの入口にあった小さな段差。既存のフローリングを残したまま、上から新しいフローリングを重ね張りすることで、床が少し高くなり段差が解消されました。
| リフォーム費用 | 425万円 |
|---|---|
| リフォーム面積 | 40㎡ |
| 工事期間 | 15日 |
| 築年数 | 26年 |
| 工事内容 | ・LDKの内装工事 ・階段の手すり設置 ・水回り設備の交換(システムキッチン、トイレ、システムバス、給湯器、洗面台)など |
出典:http://www.8044.co.jp/gallery/438
4-3.排水方式の変更で家全体の段差を解消したリフォーム
子ども達が巣立ったあと、築25年のマンションをご夫婦二人で過ごすためにリフォームされた事例です。家のいたるところに段差がありましたが、水まわりの排水方法を変えることで床を下げて段差をなくすことに成功しました。
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キッチンの床が5cmほど高く、買い物袋や食器を持って出入りするときに段差でつまずきやすいのがお悩みでした。配管スペースを調査して排水方法を変更することで、リビングとフラットにつながるキッチンを実現しました。
トイレの入口にも、10cmほどの大きな段差がありました。床排水を壁排水に変更することで段差を解消。いっしょに便器や内装もリフォームすることで、明るく気持ちのいいトイレに生まれ変わりました。
| リフォーム費用 | 587万円 |
|---|---|
| リフォーム面積 | 68㎡ |
| 工事期間 | 3ヶ月 |
| 築年数 | 25年 |
| 工事内容 | ・家全体の間取り変更や内装工事 ・水回り設備の交換(システムキッチン、トイレ) ・給排水管の更新 |

