今回は、入社後すぐに退職を決めたという2人のエピソードを紹介する。
◆感動するはずの映像で…涙が止まらなくなった

「気づけば、始発で出勤して終電で帰る生活が続いていました。体力的にもかなりきつかったですね」
業務に追われる日々の中で、「この仕事は自分に向いていないのではないか」と感じるようになったという。そんな中、“ある出来事”が転機となった。
「結婚式のエンドロールで、新郎新婦の思い出の写真が流れていました。会場では感動して涙を流している人も多かったんです」
そのとき、山本さん自身も涙が止まらなくなった。
「周りからは、“感動して泣いている”ように見えたと思います。でも実際は、仕事のつらさや疲れが一気にあふれて泣いていました」
自分でも理由が分からないまま、感情があふれ出た瞬間だったようだ。
◆高尾山の頂上で「辞めよう」と決めた
その後、山本さんは上司に「少し壁にぶつかってしまったので、富士山に登ってきてもいいですか?」と相談した。当時は気持ちを整理するために「何か大きいことをしたい」と考えていたという。しかし、富士山は時期的に登れないとわかり、「それなら高尾山に登ります」と言い直した。
「ひとりで山を登りながら、ずっと仕事のことを考えていました」
歩き続けるうちに、気持ちは少しずつ整理されていったようだ。そして、高尾山の山頂に着く頃には、結論ははっきりしていた。
「『やっぱり、この仕事を続けるのは難しいかもしれない……』と思い、辞めようという気持ちになっていました。不思議とスッキリしていたのを覚えています」
山を下りてすぐ、上司に電話をかけて「高尾山に登ってみましたが、やはり辞めさせてください!」と伝えたという。
退職日までは出勤を続けたが、つらかった原因は仕事内容というよりも、長時間勤務による体力的な負担だった。それがやがて、精神面にも影響を与えたのだ。
幸せの場を支える仕事と、自分自身の状態とのギャップ。その違和感が、少しずつ積み重なっていったようだ。

