◆「辞めるのは甘え」と思いながら続けていた仕事

「入社前は『ここで頑張ろう』と思っていたんですが、実際はかなり厳しい環境でした」
社内には同期はおらず、入社直後から他の社員と同じ水準の成果を求められた。仕事を覚えるだけでも精一杯な状態にもかかわらず、ベテランと同じノルマを課せられたそうだ。
さらに、女性同士で成績を競い合う環境もプレッシャーになっていた。
「数字が張り出されるたびに、周りと比べてしまうんです。『どうして、自分だけできないんだろう』と感じることが増えていきました」
土日も資格の勉強や準備に追われ、気づけば休みの日でも仕事のことが頭から離れなかった。
「カレンダーを見て『また月曜日が来る』と思うと、気持ちが重くなっていました」
それでも当時は「すぐ辞めるのは甘え」という考えが強かったという。何があっても“2年”は続けようと自分に言い聞かせていたそうだ。
◆「辞めてもいい」のひと言で気持ちが軽くなった
しかし、次第に体調にも変化が表れた。「朝になると気持ちが重くて、会社のことを考えるだけで不安になっていました」
そんなとき、友人に今の状況を打ち明けると「辞めたいんなら辞めていいじゃん」と言われたという。そのひと言で「辞めてもいいんだ」と思えた中村さんは、初めて自分の状況を冷静に見られるようになり、その2日後に退職を決意した。
入社してわずか1か月だった。
「当時は『すぐに辞めてしまった……』という思いもありましたけど、今は受け止め方が変わりました。あのときの決断は、自分にとって必要だったと思っています」
そして中村さんは現在、ベビーシッターとして働いているとのことで、最後に「自分の合う環境で働くことの大切さを実感しました」と明るく話した。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

