◆教師への侮辱と土下座の強要
このような異変は、この学校だけの特殊な事情ではない。大阪府内にある公立学校のあちこちで、同じような事態が広がり始めているという。中学校で音楽教師を担当する宮守恭子さん(仮名・32歳)は、もはや改善の余地はないと半ばあきらめてしまったと話す。その思いを決定づけたのが、彼女に対して行われた、ある仕打ちだと打ち明ける。「お祭りが盛んなエリアにある学校なので、その時期になると、男子たちはずっとお祭りの練習みたいなことをやってるんです。授業時間になっても、まだやってたので注意すると、『先生も参加してや!』って、掃除用のホウキ2本を私の股に差し込んで、神輿みたいにワッショイ、ワッショイって担がれて……。中3の男子でしたから、力付くでは止められないしね。屈辱的な経験でした」
宮守さんによると、こうした悪ふざけは、まだ序の口にすぎないとか。むしろ深刻なのは、保護者を含んだ問題に発展した時だという。
「つい先日も、学年全体で行う行事練習で数名の生徒がずっと暴れていて。昔なら厳しく注意するんでしょうけど、今は見て見ぬフリ。保護者が出て来ると、『なんでウチの子どもを叱ったんや!』って怒鳴り込んできたり。ある先生は、職員室で土下座を強要されたこともあるくらいです。だから、優しくなだめることしかできないんですよ……」
◆いじめ動画を見た担任教師は…
こうして対応を続けている教師は、まだマトモと言える。指導に悩み、精神的に追い詰められた末、犯罪にも似た行為に出る教師もいるのだ。前出の井上さんは、自身の体験を交えながら、さらに耳を疑う話を明かしてくれた。「いじめっ子が、大人しい男の子をボコボコに殴って服を破いたり、地面に叩きつけたりしたことがあったらしいんです。それを、ウチの子どもがスマホで撮影して、担任の先生に報告したら……『プライバシー侵害になるから、早く消しなさい!』って、逆に叱られたって。そんな先生じゃなかったのに、もう面倒を起こすのは嫌なのかなと思って悲しくなりました」
ここまで紹介した学校現場の混乱は、いずれも大阪府内の公立学校で起きていたものだ。教育行政に携わる関係者、田中和也氏(仮名・48歳)は、「大阪は所得格差が大きく、もともと問題が生じやすい地域です。それに加えて教育改革に伴う教員の負担増や、講師・非正規教員に頼らざるを得ない状況が重なり、現場の余裕が失われ、一部の学校では荒れが深刻化しているとみられます」と眉をひそめる。

