◆管理教育が招く、負の連鎖

「教育関係者と話をすると、本来であれば幼児期に経験し、学んでおくべきことを学齢期になっても引きずっているのではないかという指摘が出ます。例えば、砂場でお友達と意見の衝突や行き違いを経験する中で、トラブルを解決したり、喧嘩をしてもどこまでなら許されるのかを学んだりします。一方で、学校現場では『トラブルを防ぐ』というプレッシャーが強いあまり、教員は心の余裕を失ってしまい、結果として管理教育的な体制が強くなる。そうした過剰な管理体制によって、子どもの自発性は削がれ、かえって問題行動に走ることもあります」
「私立より公立が荒れやすい」という見方についても、「慎重に考えるべき」と、おおた氏はこう解説する。
「公立にしろ私立にしろ、学校が荒れる原因は一つではありません。それを家庭環境のせいや、偏差値の問題にしてしまうのは短絡的です。貧困やひとり親家庭の子どもを勝手に『問題を抱えやすい』とみなすのは偏見ですし、『偏差値の低い学校は荒れる』という発想も、結局は差別的なまなざしだと思います」
原因は単純化できなくても、子どもも教師もここまで追い詰められている現実は重い。いま本当に必要なのは荒れた生徒への場当たり的な指導ではなく、崩壊を食い止める教育体制そのものかもしれない。
<取材・文/橋本未来>
【教育ジャーナリスト・おおたとしまさ氏】
男性の育児や、子育て夫婦のパートナーシップ、受験など幅広いジャンルで活躍。著書に『中学受験「必笑法」』(中公新書ラクレ)など
【橋本未来】
主に関西圏で広告関係やマガジン系の仕事をしながら、映像の企画・構成なども手掛ける。芸人さんやちょっと変わった経営者さんなどの話を聞くのがライフワーク Twitter:@h_mirai1987

