◆一流企業だからこそ社員が不正に走りやすい

「不祥事が起きると『一流企業なのになぜ?』という声が上がるが、実は一流企業の社員だからこそ不正に走りやすい。というのも、人は『正しいことをした』『立派な仕事を成し遂げた』と自覚すると、その後に行った不正行為を『これくらいはいいだろう』と正当化する傾向があるためです。これをモラル信任効果と呼びます。この効果は社会的評価の高い企業や職業の人ほど生じやすい。『一流企業で働いていること』が免罪符になってしまうのです」
また、令和型不良社員が生まれる背景には「SNSの普及による承認欲求の暴走」や過度な目標設定が与えるプレッシャー」という要因もある。
「SNSの普及によって、個人のプライベートな欲望を職場で満たそうとした結果、バイトテロや不適切な投稿を行う不良社員が増えている。さらに現場の能力を超えた目標やノルマも、達成するために不正に走る不良社員を生み出す」(太田氏)
◆過度に締めつけを厳しくすると…
企業がそうした不良社員を管理するのも容易ではない。過度に締めつけを厳しくすると、今度は別の不正を生む恐れがあるからだ。「厳格な成果主義に基づく人事管理は、短期的には効果があるが、長期的には弊害のほうが大きい。過剰に管理された社員は上を忖度するようになり、社会正義に反していても上司が喜ぶなら不正に手を染めてしまうことがあるからです。’23年に発覚したビッグモーターの不正がまさにこれ。
また、管理のためのルールが多すぎると今度は社員の自発性が薄れていきます。『どうせ会社は自分を信頼してない』と、ただルールに従うだけで自ら考えて判断する力が奪われてしまいます。高い目標設定自体は悪いことではないですが、設計の仕方を間違えると組織が壊れてしまう。プルデンシャル生命のような極端な成果主義は米国では機能するかもしれないが、日本企業に合っているか疑問です」(阿部氏)
令和型不良社員による不祥事の続発は、現代の会社組織が抱える病巣とも言える。

