藤(フジ)を自宅で育てることはできる?

花が頭上から降り注ぐような、美しい藤の花を自宅で楽しみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
じつは藤棚を作るスペースがなくても、鉢植えや庭植えで育てることができます。鉢植えのほうが根の成長が制限されて花つきがよくなり、何もしなくても咲くといわれるほど育てやすいのが藤の特徴です。盆栽仕立てにして楽しむこともできます。
藤(フジ)の栽培12カ月カレンダー
開花時期:4月下旬~5月中旬
植え替え適期:2~4月
肥料:1月下旬~2月、5月中旬~6月上旬
植え付け:2~4月
藤(フジ)の栽培環境

日当たり・置き場所
藤は日当たりのよい場所を好む植物です。日なた~半日陰に置いて、十分に日を当てながら育てましょう。
植える場所は水はけがよく、適度に土の湿度が保たれる場所がよいでしょう。土が乾燥すると生育に悪影響が及ぶので注意が必要です。
耐寒性・耐暑性
ある程度の耐暑性、耐寒性があります。成長期にあたる夏は、高い気温で土壌が乾燥し、水切れしやすいので気を付けましょう。
冬は休眠期に入り落葉しますが、基本的に冬越しは必要ありません。
藤(フジ)の育て方のポイント
では、藤の花を自宅で咲かせるにはどのように育てればよいのでしょうか。
藤の花は、ポイントを押さえれば綺麗に咲かせることができます。ここからは藤の花を育てる方法について、詳しく解説します。
用土

用土は、水はけがよく適度に保水性を有したものが適しています。
市販品なら園芸用培養土で問題ありません。自作する場合は、赤玉土と腐葉土を7:3で配合しましょう。
地植えする場合は、土を手で軽く握って土壌チェックを行います。手を開いても土が崩れず、指でつつくと崩れる程度がちょうどよいバランスです。
手を開いたときに土が崩れる場合は乾燥しすぎなので、保水性の高い黒土などを混ぜ込みましょう。指でつついても土が崩れない場合は水はけが悪いので、川砂などで調節します。
水やり

生育や花付きを悪くしないために、水切れしないよう注意が必要です。鉢植えの場合は土の表面が乾いてからたっぷりと水やりをします。目安として春や秋は1~2日に1回、夏は1日に1~2回、冬は土が乾いたら水やりをしましょう。
肥料

肥料は、株の周りに施肥のための溝を掘り、冬には寒肥として堆肥などの有機物に草木灰を混ぜたものを施します。花後にはお礼肥として同じように施肥溝を作り、油かすなどを施します。
注意する病害虫

【病気】
藤に発生しやすい病気は、斑点病やさび病、こぶ病(がんしゅ病)などがあります。
斑点病は葉に茶色っぽい斑点が出る病気です。さび病はカビの仲間で、金属に発生するさびのような物体が葉につきます。
こぶ病(がんしゅ病)は幹や枝にこぶのような突起ができる病気です。接ぎ木をした部分に発生することもあります。
いずれも風通しが悪いことが発生の原因になるので、生育環境に注意しましょう。
【害虫】
藤につきやすい害虫は、カイガラムシやカメムシ、フジノキクイムシ、マメコガネ、マメドクガなど。
カイガラムシやカメムシは葉や茎について、樹液を吸って植物を弱らせます。フジノキクイムシは幹を、マメコガネやマメドクガは葉をかじる害虫です。
藤(フジ)の詳しい育て方
苗の選び方
苗を選ぶ際に大切なのは、どのように増やした苗かという点です。フジの苗には種から育てた実生苗と、接ぎ木から育てた接ぎ木苗があります。
藤は成長がゆっくりで、芽吹いてから花をつけるまでにかなりの年数を要する植物です。そのため、成熟した木の枝から枝を採った接ぎ木苗の方が花つきや成長が早く、早く開花を楽しめます。
花色や花の咲き方、樹形なども品種によって異なるので、好みのものを選びましょう。
植え付け・植え替え

藤は種子と苗から育てられますが、新品種を作るのでない限り、種子からはまず育てません。花が咲くまでに早くて3年はかかるからです。通常は育てやすく、早く花を楽しめる苗から育てます。
苗を植える場合、植え付けの適期は11~3月です。鉢植えでも地植えでも育てられますが、地植えの場合は日当たりのよい場所を選びましょう。
鉢植えの場合、植え付け後は2~3年に1度植え替えをします。
仕立て方

藤の仕立て方はさまざまな種類があります。
王道なのは藤棚です。地植えのフジをネットや紐などで誘引し、藤棚の天井に達するまで伸ばします。その後は自然と藤棚につるが広がるのにまかせましょう。
ネットや木製のトレリスを設置した壁に這わせる壁面仕立てもあります。一見立ち木のようにも見える、おしゃれな仕立て方です。
途中まで支柱を立てて、つるが木の幹のようにしっかりとしてきたら支柱を外せば、立木仕立てになります。
鉢植えの場合も同様です。支柱や紐に這わせたり、立木仕立てにしたりして楽しめます。
日常のお手入れ
花が咲き終わった後は、花がら摘みを行いましょう。そのままにしておくと実をつけるため、エネルギーを消耗して株が弱ってしまいます。
株を元気なまま保ち、次の開花期にもたくさん花をつけるためには、こまめな花がら摘みが大切です。
剪定・切り戻し

フジは初夏の花後と冬の落葉後に剪定が必要です。つるがどんどん伸びていくため、剪定せずそのままにしてしまうと幹に日が当たらず、花が咲かなくなってしまいます。
初夏の花後剪定では、混み合っている不要な枝や、伸びすぎた枝の先端を切ります。この際、花房の付け根から2cmほどの茎を残すか、2~3つの芽を残しておくと花つきが良くなります。葉は残しておきましょう。
冬の剪定では、花芽がついていない不要な枝や、枯れた枝、伸びすぎた枝、内向きに生えている枝などを切ります。長さを調節する選定では、1本の枝につき3~5つほどの花芽を残しておきましょう。根元から生えている「ひこばえ」も剪定します。
初夏の花後剪定から冬の剪定までの間は、一切剪定をしません。つるが邪魔になった場合は、つるを巻いてまとめておきましょう。
増やし方

藤は挿し木や接ぎ木で増やすことができます。
挿し木や接ぎ木には春の3~4月か、秋の9月頃が適しています。
挿し木の場合は、太くて元気のよい枝を15~20cm切り取って挿し穂とします。植えてから1カ月ほどで発根するので、根が育ったら鉢上げ、または定植しましょう。
接ぎ木は種子から2~3年育てた藤の苗を台木として行いますが、さまざまな技術が必要なので、一般家庭ではあまり行われない方法です。
藤(フジ)の花の名所

藤の花の名所は日本各地にあります。代表的な名所には次のような場所があります。
- 藤島体育館周辺(山形県・鶴岡市)
- あしかがフラワーパーク(栃木県・足利市)
- 亀戸天神社(東京都・江東区)
- 岡崎城公園(愛知県・岡崎市)
- 平等院 鳳凰堂(京都府・京都市)
- 才ノ神の藤(京都府・福知山市)
- 春日大社 萬葉植物園(奈良県・奈良市)
- 白毫寺(兵庫県・丹波市)
- 藤公園(岡山県・和気町)
- 和気公園(鹿児島県・霧島市)
など。

規模の大きさや花の美しさ、歴史の長さなど、それぞれに魅力があります。藤の花が咲く頃に、ぜひ足を運んでみましょう。
名所の感動をあなたのお家にも。意外とカンタンな藤(フジ)の栽培に挑戦しよう

4〜5月にかけて見頃を迎える藤の花。全国各地の名所で、頭上から降り注ぐような満開の藤棚を見上げるのは素晴らしい体験です。その幻想的な美しさを、ご自宅で身近に楽しめたらもっと素敵だと思いませんか?
「大きな藤棚を作るスペースがない…」と諦める必要はありません。藤は鉢植えでも十分に育てることができ、むしろ鉢植えの方が根の成長が制限されて花つきがよくなるため、初心者でも育てやすい植物です。日当たりの良い場所に置き、水切れに注意しながら適切な剪定を行えば、毎年美しい花を咲かせてくれます。
今年の春は名所へ出かけて藤の魅力に触れるとともに、ぜひご自宅のベランダや庭に藤の苗を迎えて、あなただけの可憐な花を育ててみてくださいね。
Credit 文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
