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大自然と物語が交差する、フィンランド・ロヴァニエミの旅。

大自然と物語が交差する、フィンランド・ロヴァニエミの旅。

雪原を駆けるハスキーと、トナカイの静かな時間。

 ラップランドの冬を象徴する体験といえば、ハスキーソリだ。力強いシベリアンハスキーたちがソリを引き、雪に覆われた森を駆け抜けていく。雪の上を滑るように進むその感覚は、北極圏ならではのダイナミックな体験である。郊外にある『ベアヒル・ハスキー』は、2003年創業の家族経営の犬舎。犬たちへの丁寧なケアと持続可能な運営を大切にし、“働く犬”としての尊厳を守り続けている姿勢が印象的だ。
 一方、サンタクロースのソリを引く存在として知られるトナカイも、この地の文化を象徴する存在である。フィンランドに生息するトナカイはすべて管理されており、野生の個体はいない。『ターヴァ・レインディア・ファーム』では、餌やりやソリ体験を通して、穏やかな時間の中でトナカイと触れ合うことができる。

ロヴァニエミで20年以上運営している犬ぞり体験の『ベアヒル・ハスキー』。ハスキーツアーの先駆者でもある。
人懐こく、走ることが大好きなハスキー犬たち。『ベアヒル・ハスキー』で大切に飼育・管理されている。
犬ぞりがスタートすると、犬たちの足音と雪を切るソリの音だけが響く。
凍った湖の雪原に淡く差し込む冬の太陽が浮かび上がり、幻想的な光景が広がる。
犬舎には歴代の犬の名前が残されていた。
ハスキーソリよりもゆったりとした速度で進み、森の中を静かに巡る、トナカイソリ。
この地域では、先住民族サーミの人々が古くからトナカイと共に暮らしてきた。
鈴の音が雪に包まれた森に響き、時間がゆっくりとほどけていくような感覚に包まれる。
森の中で放牧されているトナカイたちは、餌の合図に応じて静かに姿を現し、やがて目の前には数十頭の群れが広がる。

自然と文化と建築が、美しく交わる場所。

 ロヴァニエミは、建築という視点から見ても魅力的な街である。第二次世界大戦によって中心部の約90%が失われたこの街は、その再生をフィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルトに託した。彼は都市構造を「トナカイの頭」に見立てて設計したといわれている。中心部はトナカイの頭の中に収まり、2本の川がその輪郭を描き、スポーツスタジアムが“目”の位置を示し、市街地から伸びる道路が“角”を形作る。
 『アアルトセンター』と呼ばれる建築群、市庁舎、図書館、ラッピア・ホールが並ぶ行政・文化の中核エリアでは、自然素材や柔らかな曲線、光を巧みに取り込む設計が印象的だ。厳しい自然環境の中にありながら、建築は静かに風景と呼応している。
 また、市内中心部にある『アルクティクム』は、北極圏の自然や文化、サーミの歴史を紹介する博物館兼科学センター。オーロラの発生メカニズムについても詳しく展示されており、訪問前に立ち寄れば、その体験はより深く心に残るものとなるだろう。
 夜空に揺れるオーロラ、雪原を駆けるハスキー、森を進むトナカイ、そしてサンタクロースの物語。そこにアアルトの建築が重なり、ロヴァニエミは自然と文化、そして物語が美しく交差する場所となっている。
 北極圏の静寂の中で過ごす時間は、日常とは異なるリズムで流れていく。その緩やかな時間のなかで、これまでにない旅の感覚に出合えるはずだ。

1975年に建てられた『ラッピア・ホール』。アアルトが亡くなる前に竣工した最後の建物。
階段の石使いや手すり、タイルなどのディテールに、アアルトの美意識が感じられる。
2階のカフェの窓から望むのは、向かいに建てられたロヴァニエミ市立図書館。
北極圏にまつわる自然や文化、先住民族サーミの歴史を紹介する『アルクティクム』。
『アルクティクム』はデンマーク人建築家クラース・ボンダルードによるデザイン。
オーロラ発生のメカニズムなど自然科学が学べる。
トナカイ牧畜、狩猟、漁業、限られた農業の伝統で暮らす北部先住民サーミの紹介も。
北極圏の白い空気に包まれた美しい町、ロヴァニエミ。

協力
フィンエアー 
Visit Rovaniemi 
スキーラリトリート 
サンタクロース村 
ベアヒル・ハスキー
ターヴァ・レインディア・ファーム 
アルクティクム 

photo & edit & text:Chizuru Atsuta

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