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「あんまり遠いのはちょっと…」入社4日目で無断欠勤、そのまま退職した新入社員が抱えた“絶望”の正体

「あんまり遠いのはちょっと…」入社4日目で無断欠勤、そのまま退職した新入社員が抱えた“絶望”の正体

◆翌日から出勤せず、数日後に退職が伝えられた

 その翌日、彼は出勤してこなかった。最初は体調不良かと思われていたが、そのまま連絡が取れなくなり、数日後に総務から退職したと伝えられた。

 職場では「入社してすぐに転勤の話が出たことが引っかかったのではないか」「地元を離れたくなかったのかもしれない」といった声が出ていた。本人から直接理由を聞いたわけではないが、3日目の午後の出来事と翌日の無断欠勤は、周囲にもひとつの文脈として映っていたようだ。

 その後、しばらくして、藤田さんは休日に地元のカラオケ店を利用した際、偶然その同期と再会した。彼は制服を着て接客しており、学生時代にアルバイトをしていた店でそのまま働いているようだった。藤田さんが「久しぶり」と声をかけると、彼は少し驚いたような顔をしたあと、「ああ、どうも」と軽く頭を下げた。

 以前と変わらず口数は多くなかったが、落ち着いた様子で仕事をしているその姿が印象に残ったという。

◆「想像以上に大きな不安だったのかもしれない」

 当時の藤田さんは「もう辞めてしまったのか」と驚いただけだったが、今振り返ると、あの出来事の意味が少し違って見えてくると言う。

「入社直後に、住む場所や生活が大きく変わる可能性を示されることは、社会に出たばかりの若者にとって、想像以上に大きな不安だったのかもしれません」

 とはいえ、転勤の可能性は、多くの会社員にとってごく一般的な話題だ。しかしそれが「入社直後の新入社員」に対して語られるとき、その言葉の重さはまったく異なるものになるだろう。地元で育ち、地元で働くことを前提に就職した若者にとって、「別の土地に行ってもらうこともある」という言葉は、自分が描いていた未来像を根底から揺るがすものになりうるのだ。その男性は、今も地元のカラオケ店で静かに働いている。悪い結末でも、逃げたわけでもない。ただ、自分に合った場所を、誰よりも早く選び取っただけだったのかもしれない。

<構成/藤山ムツキ>

―[すぐに辞めた新入社員]―

【藤山ムツキ】
編集者・ライター・旅行作家。取材や執筆、原稿整理、コンビニへの買い出しから芸能人のゴーストライターまで、メディアまわりの超“何でも屋”です。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』『10ドルの夜景』など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』シリーズほか多数。X(旧Twitter):@gold_gogogo
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