初夏のような陽気が増え、外出が楽しくなる季節。それなのに「咳が続いてすっきりしない」と感じていませんか?風邪でもないのに長引く咳には、春ならではの原因が隠れていることもあります。気になる咳の正体や対策について、医師の石原新菜さんに伺います。
春は咳が出やすいって本当?
「咳が続いてすっきりしない」「この時期になると咳が出る」など、春の咳が気になることはありませんか?
医師の石原さんは「春は咳に悩む人が多い季節」と話します。
「咳は、ほこりやウイルスなどの異物が体の中に入ってこないように働く防御機能。気道内に異物が侵入すると、その周辺にあるセンサー(咳受容体)が察知して咳が出ます。異物の他にも、気道に炎症が生じたり、気道に詰まった痰を出すためにも咳が出ます」
「そして春は、花粉や黄砂、寒暖差や気圧の変化、空気の乾燥などの影響で、気道が敏感になりやすい季節。そのため、咳に悩まされる人が増える傾向にあります」(石原さん)
軽い咳だと「そのうち治るだろう」と考えがちですが、咳がずっと続くと周りに気を使いますし、咳が原因で寝つけないなど、日常生活に支障をきたすこともあるので注意が必要です。
咳ぜんそく?気管支ぜんそく?長引く咳の見分け方
気道の炎症や過敏状態が長く続くと、「咳ぜんそく」や「気管支ぜんそく」につながることもあります。
「咳ぜんそくと気管支ぜんそくは、どちらもアレルギー炎症から気道が過敏になることで起こりますが、それぞれ症状が異なります」(石原さん)
- 咳ぜんそく……気管支は狭くならず、咳や痰が主な症状。喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)を伴わず、咳が長引くことを唯一の症状とする疾患です。放置するほど気管支や肺が硬くなり、気管支ぜんそくへと移行するリスクが高まります。
- 気管支ぜんそく……気道が炎症を起こしており、気管支が狭くなっている状態。咳や痰が出るだけでなく、喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)、呼吸困難を伴う病気です。放置すると気道が硬く狭いまま元に戻らなくなる「リモデリング」という状態になり、治療しても治りにくくなったり、重症化を招く要因になります。
「なお、咳が続く病気には、他にも百日咳などがありますが、百日咳は『百日咳菌』という細菌による感染症で、花粉や黄砂とは無関係に起こります。特に乳幼児に多く見られ、発作的な咳と、息を吸うときの『ヒュー』という音が特徴。最近は、ワクチンを打ってから10年以上経った大人が感染するケースも見られます」(石原さん)
いずれにしても、咳が2~3週間以上続く場合は、ぜんそくなどの病気が原因の可能性があります。以下のような症状がある人は、専門の医師に早めに相談しましょう。
<危険な咳のサイン>
- 咳だけが2週間以上続く
- 血が混じる痰や、色の濃い痰が出る
- 呼吸がしづらく感じる
- 階段の上り下りなど軽い運動で動悸や息切れが起こる
- 胸に痛みを伴う

